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品川認知症対策協議会第21回品川認知症勉強会

品川認知症対策協議会第21回品川認知症勉強会において、抗アミロイドβ抗体薬の適応に関する講演をしました。 日本では、 レカネマブのガイドライン があります。副作用のAmyloid-related imaging abnormalities(ARIA)をモニターするために、頭部MRIが必須です。したがって、MRIができない人はこの治療はできません。 例えば心臓のペースメーカー。最近のペースメーカーはMRIに対応していますが、 実施には条件があります 。放射線科と循環器科を標榜している病院であること、研修を修了した放射線科医師、MRI検査を行う放射線技師、循環器科医師、臨床工学技士が必要です。そして検査前後のデバイスのチェックを循環器科医師が行います。 東京労災病院では、予約のMRIであれば可能です。 定期的なARIAのチェックは予約検査なので可能です。 しかし、症候性のARIAが疑われた場合、on callの検査になります。平日日中なら何とか可能でしょう。しかし当直時間帯は困難です。 脳梗塞を発症し、 血栓溶解療法が必要になった場合も、投与直前にARIAの確認が必要 です。レカネマブの治験参加患者(後に実薬群と判明)で、投与中に発症した脳梗塞に対してrecombinant tissue-type plasminogen activator(rt-PA)を投与したところ、 多数の脳出血を発症し死亡した症例が報告されています 。これはまだ1例なので今後判断が変わるかもしれません。カテーテルによる血栓除去療法が安全に行われたレカネマブ例の報告はありません。レカネマブ例の超急性期脳梗塞発症でもMRIが必須です。このような時も、夜間だと東京労災病院ではペースメーカー例でMRIができないことが多いです。 脳・脊髄刺激装置が入っている場合も同様です(脳深部刺激術の場合は進行期パーキンソン病などでしょうから、複合病理でレカネマブ適応にはならないでしょう)。 ということで、東京労災病院ではペースメーカー例はレカネマブ対象外としました。 現在はレカネマブ例全例調査になっていますので、症例が蓄積されると、上記など様々な条件が変わってくることでしょう。血栓溶解療法がそうでした。

品川認知症対策協議会第21回品川認知症勉強会

品川認知症対策協議会第21回品川認知症勉強会において、抗アミロイドβ抗体薬の適応に関する講演をしました。 日本では、 レカネマブのガイドライン があります。副作用のAmyloid-related imaging abnormalities(ARIA)をモニターするために、頭部MRIが必須です。したがって、MRIができない人はこの治療はできません。 例えば心臓のペースメーカー。最近のペースメーカーはMRIに対応していますが、 実施には条件があります 。放射線科と循環器科を標榜している病院であること、研修を修了した放射線科医師、MRI検査を行う放射線技師、循環器科医師、臨床工学技士が必要です。そして検査前後のデバイスのチェックを循環器科医師が行います。 東京労災病院では、予約のMRIであれば可能です。 定期的なARIAのチェックは予約検査なので可能です。 しかし、症候性のARIAが疑われた場合、on callの検査になります。平日日中なら何とか可能でしょう。しかし当直時間帯は困難です。 脳梗塞を発症し、 血栓溶解療法が必要になった場合も、投与直前にARIAの確認が必要 です。レカネマブの治験参加患者(後に実薬群と判明)で、投与中に発症した脳梗塞に対してrecombinant tissue-type plasminogen activator(rt-PA)を投与したところ、 多数の脳出血を発症し死亡した症例が報告されています 。これはまだ1例なので今後判断が変わるかもしれません。カテーテルによる血栓除去療法が安全に行われたレカネマブ例の報告はありません。レカネマブ例の超急性期脳梗塞発症でもMRIが必須です。このような時も、夜間だと東京労災病院ではペースメーカー例でMRIができないことが多いです。 脳・脊髄刺激装置が入っている場合も同様です(脳深部刺激術の場合は進行期パーキンソン病などでしょうから、複合病理でレカネマブ適応にはならないでしょう)。 ということで、東京労災病院ではペースメーカー例はレカネマブ対象外としました。 現在はレカネマブ例全例調査になっていますので、症例が蓄積されると、上記など様々な条件が変わってくることでしょう。血栓溶解療法がそうでした。

第39回日本老年精神医学会

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第39回日本老年精神医学会が札幌コンベンションセンターで開催されました。 簡易な神経所見のとり方実践講座では、神経所見の取り方と病的所見の画像を用いた解説を担当しました。 認知症診断のための神経所見のとり方(ワールドプランニング社)は こちら 。脳神経内科のエキスパートに老年精神医学雑誌の特集として執筆を依頼、これをまとめた本です。 進行性核上性麻痺で、発症8年以上経っても眼球動くと予後良好、 こちらの論文 。 神経学的所見の取り方実践講座(アップグレードコース)では、画像の読み方実践講座を担当しました。 fluorbetapir( 18 F)読影トレーニングは こちら 。Macユーザーの方、Apple siliconでは動画・画像ソフトともにうまくいきません... Intel Macをご用意ください。flutemetamol( 18 F)読影トレーニングプログラムは こちら 。こちらは時間がかかるのと、途中でやめて、途中からまた見る、ということができませんので、時間を確保して取り掛かってください。Apple siliconでも閲覧可能でした。 PETに関する総説は こちら と こちら と こちら 。アミロイドSPECTもありますが、 白質のミエリンを構成するmyelin basic proteinがβシート構造を形成 、白質と皮質を区別する解像度が必要なので、PETなのであります。 アミロイドイメージング剤を用いた脳PET撮像の標準的プロトコール第6版は こちら 。アミロイドPETイメージング剤の適正使用ガイドライン 改訂第3版は こちら 。 アミロイドPETが陰性なら、アルツハイマー病は否定的。しかし、陽性の場合は、アルツハイマー病のこともあるが、レヴィ小体型認知症をはじめとする他の認知症のこともあるし、健常者でも溜まってることもある。 したがって、アミロイドPETがあっても、従来の認知症診断は必要です。 特に、早期の認知症診断が求められる時代。脳血流SPECTやFDG PETで、後部帯状回の所見がポイントになるかと思っております。箕島聡先生の論文は こちら 。石橋賢士先生の論文は こちら 。でも例外も経験しました。 lecanemab登場で、認知症診療は変わってきましたが、変わらないところもある。従来の手法を会得していな