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3月, 2010の投稿を表示しています

第3回関東脳核医学研究会

 ベルサール九段で開催された、第3回関東脳核医学研究会で、前頭側頭葉変性症(FTLD)の画像診断に関する講演をしました。  島根大学の山本泰司先生からは、 123 I-IMP SPECTでのGraph Plot法についての講演がありました。昨今の脳神経外科の疲弊を考えると、動脈血採血が必要なARG法は負担になります。手術の途中でOPE室を抜け出すこともありますから。無採血の方法は期待できます。精度をどこまで妥協できるかにかかります。  大阪大学精神医学の數井裕光先生からは、FTLDの症状についての講演がありました。「我が道を行く」性格、痛みに過剰な反応、常同行動、 模倣行動 、意味性認知症の病巣の左右の違いなど、興味あるお話でした。  日本大学の泰羅雅登先生からは、頭頂葉の働き、特にナビゲーション機能についてのお話がありました。  昭和大学の河村満先生からは、上側頭溝領域での生物の動き、視線の認知、眼差しの認知についての講演がありました。  筑波大学宇野彰先生からは、学習障害(Learning Disorders:LD)のひとつ、 発達性読み書き障害(dyslexia) についてのお話がありました。 トムクルーズがdyslexiaの過去を明かしています 。  東京大学発達医科学の水口雅先生からは、小児の脳死判定に関する講演がありました。重症頭部外傷の20%が被虐待児ですが、この場合は脳死判定基準からは外れます。東京大学放射線医学の百瀬敏光先生からは、脳死の画像診断についてお話がありました。SPECTではhollow scal signが特徴です。  京都大学霊長類研究所の正高信男先生からは、自閉症・アスペルガー症候群などのLDでの、e-learningの試みについてのご講演がありました。LDが疾患とは認識されないので、放置されていることが多かったようです。オリジナルソフトによるe-learningが効果的なので、行政にも働きかけ様々な地域に広がりつつあるそうです。

Fighting Vascular Event in Chiba

 オークラ千葉ホテルでFighting Vascular Event in Chibaに参加しました。  千葉大学脳神経外科の小林英一先生からは、頚動脈プラークの画像についてご講演がありました。内頚動脈ステント術(CAS)は、当初内頚動脈内膜剥離術(CEA)が困難な症例が対象でしたが、適応症例が広がってきました。ステントで問題なのは、ステントを広げるときのdebris。 脆弱なプラークを術前に診断する必要があります 。普及しているのは頚動脈ECHOで、低輝度なものが脆弱プラーク。MRIもいいようです( Circulation と Radiologyの論文 )。そしてなん とFDG PETがよろしいようです 。  東京医科大学内視鏡センターの河合隆先生からは、アスピリンなど抗血小板剤による胃粘膜病変について、内視鏡所見を中心に解説いただきました。H. pyloriは5歳までに感染するそうですが、感染率は減少傾向にあるようです。これに対し、 防御因子を低下させるNSAIDによる胃潰瘍が増加しているそうです 。 また両者が重なるとリスクは増加します。 そして、 アスピリンなど抗血小板剤による胃粘膜病変が問題になっています 。アメリカのガイドラインには、アスピリンによる胃潰瘍の予防として、H. pyloriの除菌を推奨しています。一度除菌すると再発はまれとか。 河合先生のアスピリンの影響を見た臨床研究 は印象的でした。アスピリン潰瘍は意外と浅く、内視鏡前に数日アスピリンを中止すると治ってしまうことも多いようです。アスピリン以外の抗血小板剤でも、胃粘膜防御策はやっておいた方がいいとおっしゃっていました。  東京歯科大学市川総合病院の野川茂先生からは、先頃発表されたばかりのCSPS-IIと脳卒中治療ガイドライン2009を中心に脳梗塞治療のレクチャーがありました。ECAS-IIIでは、tPAのtheraputic windowが3時間から4.5時間に延長されましたが、やはり出血は増えるようです。私たちはクロピドグレルを使うことが多くなりましたが、日本人は欧米人より肝機能障害が多いので注意が必要です。また、オメプラゾールなどPPIと併用すると、薬効が減るそうです。CSPS-IIで、シロスタゾールはアスピリンより出血合併症が少なかったとのこと。虚血性脳血管障害の再発予防など、詳細は論

市町村合併

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印旛村・本埜村と印西市が合併した関係で、日本医科大学千葉北総病院の住所の表記が、印旛郡印旛村から印西市に変わりました。 〒270-1694 千葉県印西市鎌苅1715

第2回銚子市医師会学術大会

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 銚子市医師会館で開催された、第2回銚子市医師会学術大会で千葉県共用医療連携パスについて講演しました。銚子と言えば、 銚子市立総合病院閉院 が記憶に新しいですが、再開に向けて動き出しているようです。隣の市には1,000床弱の旭中央病院がありますが大変な状態。医療連携にはご苦労されています。リハビリテーションの資源が少ないのは印旛地区と同じですが、印旛は隣に東葛南部・北部があり、何とかなります。連携パスが医療崩壊を止める最終手段、という声もありますが、そうではないと思います。医師・看護師・リハビリテーションスタッフ・MSWを千葉県に集めないことには、何も解決しません。しかしどうすれば...  開業医は、紹介先の急性期病院からその後の経過を知りたがっていらっしゃいますが、私たち急性期病院は紹介時に必ず返事は書きますが、その後の経過はお知らせしていないことが多い... こんなことも、席を同じくして気づきます。

平成21年度印旛地域保健医療協議会

印旛合同庁舎で開催された、 平成21年度印旛地域保健医療協議会 で地域連携パスの患者のメリットについてプレゼンテーションしました。議事録が時機アップされるそうです。

千葉県共用脳卒中地域連携パス回復期部会

東京湾岸リハ病院で開催された千葉県共用脳卒中地域連携パス回復期部会に出席しました。今回脳卒中地域連携パスで問題になったのは、食形態です。例えば、「五分粥」や「ペースト食」といったときに、各病院で堅さや粘度などが異なります。連携パスで転院するときにできるだけ同じような食形態にするためには、共通言語が必要です。この事項が今後協議することになりました。

Academic Conference In Tokyo

 ベルサール神田で開催された、Academic Conference In Tokyoに参加しました(ちょっと遅刻)。  東京厚生年金病院精神科大坪天平先生からは、うつにおけるドパミン系の関与について講演がありました。うつの治療薬の主流は 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor, SSRI) ですが、SSRI-induced apathy syndromeが問題になっています。セロトニン系は亢進しているが、ドパミン系とノルアドレナリン系が低下している状態ではないか、ということでした。抑うつは患者にとって苦痛ですが、apahtyは意欲がないが苦痛がなく、「どうでもいい」というような状態。一方、anhedoniaは無快感症、何かするけど楽しくない状態、ドパミン系は低下しているが、ノルアドレナリン系とセロトニン系は亢進していると。  日本医科大学第二内科永山寛先生から、パーキンソン病における気分障害についてお話がありました。 大うつ病の合併は健常者と同程度 。 一方anhedoniaは17%程度に認められ、通常のうつとパーキンソン病の気分障害は同じではない。 [11C]RTI-32 PETの研究 では、limbic sytemへのドパミン系が障害ありと。パーキンソニズムに先行するうつも知られています。 FDOPA PETの研究 では、pre-clinical periodは5〜6年程度と推計されています。  東京医科大学睡眠学講座の井上雄一先生からは、Restless Leg Syndrome(RLS)に関するreviewがありました。安静時に異常感覚を生じるもの、月に2回以上ある人は、RLSが慢性化する可能性があるようです。 L-DOPAテスト があるくらいですから、ドパミン系の関与は明らかですが、病態は不明な点が多いです。診断基準と重症度スケールは こちら を。 ドパミンアゴニスト とL-DOPAが有効ですが、3ヶ月程度使用していると、 augmentationが問題になってくるそうです 。その場合に、gabapentineが効果的とか。  順天堂大学水野美邦先生からは、パーキンソン病の治療薬の選択について、実際のビデオを供覧しながら拝聴しました。ビデオとUPDRSは全例外来で取られているのでしょ

第2回千葉県脳卒中リハビリテーション協議会

 プラザ菜の花で開催された、第2回千葉県脳卒中リハビリテーション協議会に出席しました。脳卒中患者の入院・転院の動向の調査が報告され、地域による違いが印象的でした。解析終了後、県庁のサイトに公開されるようです。  私たち印旛二次保健医療圏は君津地区についで人口あたりのリハビリテーション病床が少ないようです。しかし、 印旛脳卒中地域連携パス では、東葛地区との連携で補われています。あとは在宅でのリハビリテーション継続が課題です。

「脳卒中防止キャンペーン」のスポット公開中

NHK岡山放送局のサイト で、「脳卒中防止キャンペーン」のスポットが公開中です。

第20回Post Stroke Depression研究会

 東京會舘で開催された、第20回Post Stroke Depression研究会に参加しました。これまで、 第16回 ・ 第18回 ・ 第19回 と参加してきましたし、脳卒中後うつの有病率の調査にも協力してきました( 印旛脳卒中地域連携パス にMINIを採用しました)が、今回で終了です。  慶応義塾大学精神神経科の穴水幸子先生からは、左橋梗塞後のうつ状態の症例が報告されました。右前頭前野の脳血流低下も伴っていたとか。フルボキサミンが効果的だったそうです。散歩など運動の他、ブログで社会とのコンタクトを持つことも効果的だったようです。   松見病院 の柏瀬宏隆先生からは、 病跡学 の視点から、脳卒中後うつと自殺に関する講演がありました。 江藤淳氏 の自殺が検証されました。とはいっても、カルテがあるわけではなく、公表されている情報、著書などから判断しなければならないのが病跡学の限界です。しかし学ぶべきことはたくさんありました。妻に先立たれた脳卒中の男性が一人暮らしの場合、神経内科医もしくは脳神経外科医だけでなく、精神科医やカウンセラー、ケアマネージャーなどチーム医療と地域との連携で退院後のサポートすべきだそうです。脳卒中後うつは前頭葉など病巣が直接の原因の場合もあるが、脳梗塞後遺症による苦悩がうつの原因の場合もある。抑うつを伴うpost stroke depressionとpost stroke apathyは区別すべきでは、とのことでした。   立川病院 篠原幸人先生からは、本会の総括もかね、Post-stroke syndromeと題してお話がありました。日本医科大学千葉北総病院脳神経センターも参加した、 OASIS study の論文がまもなく出版されるそうで、その研究で使用したSF-36v2と Japan Stroke Scale Depression score(JSS-D) の解析の中で、うつと自覚症状・精神症状の関連が明らかになったとのことでした。脳卒中ガイドライン2009でも、脳卒中うつに対する抗うつ剤、特にSSRIは推奨されています。 meta-analysis でも証明されていて、長期投与が有効だとか。

ゾシン発売1周年記念講演会

 東京ベイ幕張ホールで開催された、ゾシン発売1周年記念講演会に行きました。ゾシンはTAZとPIPCの合剤です。世界で一番の売り上げとか。脳卒中の連携で、転院が遅れる原因のひとつは誤嚥性肺炎ですから、勉強しようと思いまして...  カルバペネム系抗生剤の使用量が増えると、多剤耐性緑膿菌(D2ポーリン減少型)が増える。抗菌剤は考えて処方しなければなりません。  日本医科大学千葉北総病院呼吸器内科部長の日野光紀先生から、同院の院内肺炎の実態とゾジンの使用経験のお話がありました。MIC16以下で1日3回、32で4回。ゾシンは腸内細菌に影響しVit Kの吸収が減るのか、ワーファリンの効果が増大するそうな。  亀田メディカルセンター臨床検査部の大塚喜人先生からは、耐性菌検出状況とアンチバイオグラムの話がありました。亀田メディカルセンターは血液培養の比率が多く、陽性だと主治医と感染症科に連絡が行く体制です。検査技師と感染症科が週1回カンファレンスを行い、お互いの専門知識を共有しているそうです。アンチバイオグラムを院内で集計されています。懇親会で日野先生にお聞きしたところ、これをやるには専用のソフトが必要とか。亀田は3次救急病院ですが、MRSAの比率が低いです。  東北大学加齢医学研究所抗感染症薬研究部門教授の渡辺彰先生からは、市中肺炎と院内肺炎の治療と、新型インフルエンザ対策についてのご講演がありました。市中肺炎と院内肺炎のガイドラインは こちらから購入可能 。抗生物質は、微生物が他の微生物を負かすために作る物質を模倣したもの 。自然界の土壌には多数の菌がいて、太古から耐性菌がいるのである 。実際アイスマンの体内からも耐性菌が検出されている。抗生物質を開発したから耐性菌ができたわけではないのである。 ガイドラインに基づいた治療は有効率を増加する 。そして、耐性菌を減らすには、できるだけ偏りのない多様な薬剤を院内に用意することが大事だそうです。PK/PD理論に基づき、最近の抗菌剤使用法は変わりました。日本のインフルエンザワクチン行政はなんとかしなければなりません。インフルエンザはタミフル・リレンザを如何に早期に投与するかで死亡率が違うようです。そして、インフルエンザの肺炎は、細菌性肺炎が意外と多いとか。肺炎球菌ワクチンの普及も日本は他国に比べ低いようです。