投稿

12月, 2007の投稿を表示しています

眠れる再生力を呼びさませ~脳梗塞・心筋梗塞治療への挑戦~

 NHKで放送された、 眠れる再生力を呼びさませ~脳梗塞・心筋梗塞治療への挑戦~ を見ました。それなりの大きさの梗塞で、強い麻痺が残ってもやむを得ないような病巣でしたが、自力歩行可能な状態で退院されていました。  札幌医科大学付属病院脳神経外科の方法は、骨髄を採取し、その中の骨髄幹細胞を静脈投与するもので、骨髄幹細胞を分離・培養する技術があれば可能です。保険診療として認可されるようになるまでになればと思います。抗血小板剤など血が固まりにくくする治療を行う急性期脳梗塞治療のどのタイミングで骨髄採取を行うのか、骨髄採取のリスク、治療後の副作用など、クリアしなければならない問題も多数あるでしょうが。  私は高校生の頃に読んだ脳の本で脳の機能局在を知り、脳が破壊されても、その機能を担うモジュールみたいなものを移植できれば治るのでは、と勝手な想像をしていました。その後、神経内科の道に入り、当時「脳は治らない」と考えられていましたが、 大山雅史先生の論文がStrokeに掲載 、脳梗塞で失語を来した患者で、左にあった言語野が右にシフトした様子をPETで証明されました。この論文はリハビリテーションの効果を証明するもので、今でも多数の論文で引用されています。私も、 GABA系が脳の機能局在形成に関与する可能性を示唆する論文 を書きました。私たちのチームは脳の可塑性について研究してきたわけですが、ついに、これが治療に応用される可能性がでてきたわけです。   私どもの脳神経センター では、軽症の脳梗塞でも、重症の脳梗塞と同様(むしろそれ以上)の治療とリハビリテーションが必要と考えています。軽症の脳梗塞では、ご自宅で生活が可能になる方も多いですが、ちょっとした後遺症で職場復帰できないこともあります。また、中には20〜40%は進行性の経過をとり、入院当初より麻痺が強くなることもあります。だからこそ、軽症例こそ専門機関できちんとした治療が必要と考えています。今回の再生医療も、軽症例にこそ効果があるのではないかと想像しています。  番組でちょっと残念だったのが、出てきたコンピュータグラフィックで、内頚動脈と分離した外頚動脈と思われる血管が、椎骨動脈となって脳幹部の方に行っていたことです...

Adobe Illustrator CS3 (Mac)でのPDFの縦書き

Illustratorで年賀状作ったとき、PDFにしてから印刷すると、縦書きがずれるので、印刷のところで、画像として印刷を選択していましたが、 サポートデータベース に対処方法が載っていました。

Nike ID

第八回千葉県医師会医学会学術大会

イメージ
 第八回千葉県医師会医学会学術大会に参加し、アルツハイマー病におけるシグマ1受容体に関する発表をしました。また、学術奨励賞をいただきました。  本日をもって、10月下旬からつづいた連続プレゼンテーションシリーズも終了しました。10/26の脳循環代謝学会はパーキンソン病のアデノシンA2A受容体、11/5の核医学学会はアデノシンA2A受容体の加齢変化、11/10の頭痛学会は解離性動脈瘤、12/1の航空医学学会はドクターヘリ、12/5の脳卒中リハビリテーション懇話会は脳梗塞の治療とクリニカルパス、そして本日12/9の千葉県医師会医学会はアルツハイマー病のシグマ1受容体、と、全部違うネタでした。その間、脳卒中学会と神経学会の演題提出、エダラボンの論文とアルツハイマー病のシグマ受容体の論文の書き直し、入院サマリー40例強... ほんとはパーキンソン病のアデノシンA2A受容体を早く仕上げたいのに... 今月中にJ Nippon Medical SchoolにPETのReviewも書かなければならないのです...

第1回脳卒中リハビリテーション懇話会

イメージ
 2007年12月5日、佐倉市のウィシュトンホテル・ユーカリで、第1回脳卒中リハビリテーション懇話会が開催されました。地域連携パスに向けた研究会です。私は、日本医科大学千葉北総病院脳神経センターで行っている脳梗塞の治療について、プレゼンしました。  リハビリテーションのための紹介状や電話での依頼でしかつながりがなかった、回復期リハビリテーション病院のスタッフと実際にお会いすることで、今後の連携がスムースに行くような気がします。パスを早急に作らなければ...

市民公開講座

イメージ
 日本医科大学千葉北総病院で、認知症研究の第一人者であり、私の師匠の北村伸先生をお招きして、市民公開講座が開催されました。一般市民向けではありましたが、私の外来での診断にも役に立つお話が聞けました。  最近私の外来はパーキンソン病だけでなく、アルツハイマー病の方も多くなってきました。皆さんがお困りなのが、介護保険などの福祉の縮小です。神経内科医の私はヤブ医者で病気は治せませんので、せめて診断書を書いて介護側が楽に介護ができるようお手伝いするのが仕事です。しかし、新聞を見ると、介護で追いつめられた結果、不幸な事件が少なからず起こっています。  確かに、今の財政は借金まみれと無駄遣い、構造改革は重要です。しかし、現に切羽詰まっている方にとっては、増税は構造改革が終わってから、などと悠長なことを言っていられないのではないでしょうか。政治家は、選挙で勝つためには消費税アップは先送りと言う必要があるのでしょう。だったら、国民が消費税アップ止むなしと、言ってあげるべきなのかもしれません。増税を訴える政治家を支持することで。医療システム崩壊もそうです。病気になったら不十分な医療で死ぬのを良しとするのか、それとも長寿国日本でありつづけるのか。長寿国日本を選択しなかった場合、少子高齢化もあわせると、日本人がどんどん減っていくことになるのです...

日本航空医学学会

イメージ
 11月30日〜12月1日に幕張で開催された、 日本航空医学学会 に参加しました。会長は日本医科大学千葉北総病院救命救急センターの益子先生、ということから、脳神経センターを代表して演題を出した次第です。盛大に開催されていたわりには参加費は6000円と安かったのですが、受付でビックリ、看護師がスーツを着てずらり。最近の学会は、業者にお願いすることが多く、学会開催に人件費が相当かかりますから。スタッフのご努力には恐れ入りました。  でも、私は自分の発表後すぐさま日本医科大学千葉北総病院に戻ったのでした。次に書く、市民公開講座に参加するためです。