第39回日本老年精神医学会

第39回日本老年精神医学会が札幌コンベンションセンターで開催されました。

簡易な神経所見のとり方実践講座では、神経所見の取り方と病的所見の画像を用いた解説を担当しました。

認知症診断のための神経所見のとり方(ワールドプランニング社)はこちら。脳神経内科のエキスパートに老年精神医学雑誌の特集として執筆を依頼、これをまとめた本です。

進行性核上性麻痺で、発症8年以上経っても眼球動くと予後良好、こちらの論文



神経学的所見の取り方実践講座(アップグレードコース)では、画像の読み方実践講座を担当しました。

fluorbetapir(18F)読影トレーニングはこちら。Macユーザーの方、Apple siliconでは動画・画像ソフトともにうまくいきません... Intel Macをご用意ください。flutemetamol(18F)読影トレーニングプログラムはこちら。こちらは時間がかかるのと、途中でやめて、途中からまた見る、ということができませんので、時間を確保して取り掛かってください。Apple siliconでも閲覧可能でした。

PETに関する総説はこちらこちらこちら。アミロイドSPECTもありますが、白質のミエリンを構成するmyelin basic proteinがβシート構造を形成、白質と皮質を区別する解像度が必要なので、PETなのであります。

アミロイドイメージング剤を用いた脳PET撮像の標準的プロトコール第6版はこちら。アミロイドPETイメージング剤の適正使用ガイドライン 改訂第3版はこちら

アミロイドPETが陰性なら、アルツハイマー病は否定的。しかし、陽性の場合は、アルツハイマー病のこともあるが、レヴィ小体型認知症をはじめとする他の認知症のこともあるし、健常者でも溜まってることもある。

したがって、アミロイドPETがあっても、従来の認知症診断は必要です。

特に、早期の認知症診断が求められる時代。脳血流SPECTやFDG PETで、後部帯状回の所見がポイントになるかと思っております。箕島聡先生の論文はこちら。石橋賢士先生の論文はこちら。でも例外も経験しました。


lecanemab登場で、認知症診療は変わってきましたが、変わらないところもある。従来の手法を会得していないと、例えばアミロイドPETでの陽性率が低いようです...

本学会では、倫理的な側面もクローズアップされました。東京都立松沢病院の斎藤正彦先生の特別講演では、意思決定支援での倫理的問題を考えさせられました。法的には「自分で判断したんでしょ。」ということで説明した医師の責任はなし。しかし倫理的に専門医はその後も説明した責任がある。成年後見制度では患者の人権が無視される可能性がある。患者に関わる家族・友人もある。患者の意思をできるだけ反映しようとすれば、自分史などが必要になろう、しかしほとんどの人が自分史を文章化していないわけだから、長年関わりを持った人が必要。その代表が家族であろうが、家族がいない人もいる。コミュニティ?でも出入りがあるわけだし... Advance Care Planning?地域に密着したGeneral Practitioner?

診断告知・診断後支援のシンポジウムでは、そもそもの診断の困難さも指摘されました。特にアルツハイマー型認知症以外の疾患では、身体の症状・精神症状が多彩だし経過も違う...


オンサイトの学会は終わりましたが、8月1日からオンデマンド配信が始まるので、聞けなかった演題を楽しみにしています。

コメント

このブログの人気の投稿

東京労災病院 区民公開講座

FileMaker Server 19で、バックアップフォルダを外付けHDにするには

大田区不眠症治療WEBセミナー

品川認知症対策協議会第21回品川認知症勉強会