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5月, 2009の投稿を表示しています

第8回脳卒中市民公開講座

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日本医科大学看護専門学校で開催された、第8回脳卒中市民公開講座を開催しました。5月25日から31日まで脳卒中週間、脳卒中協会千葉県支部では、5月24日の千葉県脳卒中公開講座2009にひきつづき、毎年恒例の公開講座です。東京大学医学部脳神経外科教授斉藤延人先生をお招きして、「脳卒中の外科治療」と題した講演を拝聴しました。

第15回医療安全管理講習会

 日本医科大学看護専門学校で開催された、第15回医療安全管理講習会に参加しました。慶応義塾大学前田正一先生より、「医療と倫理・法 インフォームドコンセント」と題して、インフォームドコンセントの意義、注意点、説明の範囲などを講義いただきました。  通常医療のインフォームドコンセントと、医学研究のインフォームドコンセントは歴史が違う、ということでした。前者は、1914年のカードーゾ事件で、患者の同意の元に手術を行うべきという判例がでて、1957年のサルゴ事件で初めて「informed consent」という言葉が使用されたということです。一方、後者の歴史は、ナチスや日本軍731部隊の人体実験をふまえ、ニュルンベルク裁判と ヘルシンキ宣言 を経て確立されたものです。前者は患者の任意性が求められ、後者は被験者の自主性が求められるなどの違いがあります。前者は、軽微な医療行為(血圧測定や聴診など)ではインフォームドコンセントは不要ですが、後者では必要です。  インフォームドコンセントには、患者/被験者の「理解」が必要ですが、これを判断するのは困難、「説明における合理的な努力」をもって「理解」とするそうです。例に出された東大病院では、「生命保険の約款や六法全書ではなく、少年ジャンプを目指せ」というポリシーで説明文書を作成せよ、としているそうです。つまり、同じ厚い書物でも、少年ジャンプなら子供でも読む、ということです。私も患者さんのリクエストがあったので、 パーキンソン病のPETを解説するPDF を作ったのですが、まだまだ少年ジャンプより六法全書の方が近いかもしれません...

DEKIMAGA

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アドビシステムズ社が、 デジタルマガジン「DEKIMAGA」 を創刊しました。これは勉強になります。

千葉県脳卒中公開講座2009

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千葉市ペリエホールで開催された、千葉県脳卒中公開講座2009に参加しました。東京歯科大学市川総合病院内科の野川茂先生からは、内科医の立場から脳卒中の予防と治療のお話がありました。高血圧・脂質・糖尿病・喫煙・肥満などのリスクファクター管理の重要性を強調されていました。千葉県循環器病センター小野純一先生からは、脳外科の立場からのお話でした。ご自身の手術成績をきちんと出されているところが印象的でした。

第50回日本神経学会総会-3

 午前中は、ポスター会場と口演を行ったり来たり。パーキンソン病のbody mass index(BMI)や、栄養状態との関連がいくつか報告されていました。私のアデノシン受容体研究も、BMIと絡めてみようかなあ。  ランチョンセミナーは、Vanderbilt University Medical CenterのDavid Charles先生の講演を拝聴しました。DBS手術後の感染は、胸部の刺激装置付近が多いそうです。また最後に、患者の最も困っている症状をよく聞くように、と強調されました。 参考文献 W.M.M. Schüpbach, D et al.: Neurosurgery at an earlier stage of Parkinson disease: A randomized, controlled trial. Neurology, Jan 2007; 68: 267 - 271. Frances M. Weaver, PhD et al. for the CSP 468 Study Group: Bilateral Deep Brain Stimulation vs Best Medical Therapy for Patients With Advanced Parkinson Disease A Randomized Controlled Trial. JAMA. 2009;301(1):63-73. Bradley A. Wallace et al. Survival of midbrain dopaminergic cells after lesion or deep brain stimulation of the subthalamic nucleus in MPTP-treated monkeys. Brain 2007 130(8):2129-2145

第50回日本神経学会総会-2

 ランチョンセミナーでは、東北大学内科腎・高血圧・内分泌部門教授の伊藤貞嘉先生の「脳腎関連」を拝聴しました。伊藤先生の最近のreviewが フリーでダウンロードできます 。CKDと脳卒中の関連が盛んに研究されていますが、アルブミン尿も脳卒中のリスクファクターであり、なぜそうなるかが、よくわかりました。腎臓の濾過機能は糸球体が担っていますが、これは片腎に約100万個あり、1日約150lの血液を濾過、そこには約6kgのアルブミンが存在しますが、健常者では漏れ出るのがたった30〜299mg/日。大変な臓器です。また、メチルグリオキサールが、活性酸素と共謀して新たなラジカルを発生し、細胞傷害を引き起こすそうですすが、これを東北大学発ベンチャー企業である 株式会社トリムメディカルインスティテュート で測定できるそうです。治療抵抗性の高血圧の中に、 原発性アルドステロン症 があり、アニオンギャップをきちんと見ることを強調されました。アニオンギャップ=Na-Cl-HCO3で、腎不全がなければNa-Clは36くらいが正常、このバランスが崩れている場合は、原発性アルドステロン症を考えて精査すべきとのことでした。  午後は日本神経学会の総会、ついで2008年度の学会賞・楢林賞の記念講演がありました。学会賞の新潟大学小野寺理先生からは、脊髄小脳変性症のポリグルタミン鎖に関するご講演、神経細胞が非分裂細胞であり細胞の寿命が長い、したがって、細胞の内部環境維持が重要であるというお話が感銘を受けました。また、新潟大学の先生方が詳細な臨床的観察を記録していたことも印象的でした。楢林賞の順天堂大学望月英樹先生からは、パーキンソン病の遺伝子治療のご講演がありました。すでにいろいろな手法が試されていて、今後の臨床応用が期待されます。  その後は、会長の東北大学神経内科の糸山泰人先生の会長講演。最近話題のneuromyelitis optica(MNO)のお話ですが、aquaporin4抗体を介してastrocyteが障害されるのが主要病態であるということです。しかし講演の中で、かつて日本では、多発性硬化症がアジアでは少なく視神経脊髄型多発性硬化症が多いと考えられていたわけですが、これが多発性硬化症ではなくMNOであるとの考えに至る過程を強調されていらっしゃいました。  つぎに、50周年記念シンポジウム

第50回日本神経学会総会-1

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仙台国際センターで開催中の、 第50回日本神経学会総会 に参加中です。  午前中はポスター会場におりました。私は 印旛脳卒中地域連携パス(InCliPS) のウェブサイトの検証を発表しました。 Google Analytics を使うと、セッション数(いわゆるアクセスのうち、30分以内の再訪問はカウントせず)だけでなく、世界中のどの地域からアクセスしているのか、検索キーワードは何か、直帰率(トップページの後、他のページを見ずに閉じてしまったり他のサイトに異動してしまった率。企業のサイトだと、70%を超えると問題になるらしいです)などがわかる無料サービスです。2008年6月11日~ 2009年3月31日の InCliPSのウェブサイト は、直帰率65.2%、サイトのトップページは工夫が必要です。また、検索キーワードは地域連携パス関連が多く、一般市民のアクセスというよりは、脳卒中地域連携パスに興味がある医療関係者のアクセスがメインであることが想像できます。一般市民に脳卒中地域連携パスを認知いただくには、まず、脳卒中を解説するページを作り、そこから連携パスのページに誘導するような仕組みを採用すべきでしょう。  75歳以上の患者に対する血栓溶解療法についてのポスターがいくつかありました。75歳以上は慎重投与ということになっています。改めて日本医科大学千葉北総病院脳神経センターの状況を調べてみると、血栓溶解療法患者のうち75歳以上は34.5%でした。しかし、地域によっては、75歳以上が約半数を占めているところもあるようです。予後良好例は75歳以下の患者より少ないようですが、出血合併症は著変ないようです。私どもも実際出血合併症で困ったことはほとんどなく、最近は80歳以上の方でも他の禁忌・慎重投与事項がなければ実施することが多くなっています。全国で統一されている投与基準も、施設によっては変更してもいいのではないかと考えさせられます。

千葉県共用の地域医療連携パス

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千葉県共用の地域医療連携パス正式バージョンがリリースされました。 こちら でユーザー登録ができます。

第49回日本核医学会総会演題締切の延期

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第49回日本核医学会総会 の演題締切が5月7日から14日まで延期されていましたが、さらに19日まで延期されていました。

XIX Symposium Neuroradiologicum 2010

XIX Symposium Neuroradiologicum 2010 はVeniceで開催予定でしたが、Bolognaに変更されました。日時も、2010年10月4日〜9日となりました。

Double Rainbow with Dark Alexander Band

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帰宅時に見ました。この朝日新聞の写真のように全部は見ていませんでした。右下のみ。 なぜ二重になるかは こちら 。「アレキサンダーの暗帯(Dark Alexander Band)」については こちらも ご参照を。

Society for Neuroscience

Society for Neuroscience に入会しました。

Bento for iPhone and iPod touch

  Bento for iPhone and iPod touch がApp Storeで発売されました。  以前SonyのCLIEを使っていたときは、FileMaker mobileというのがあり、データベースを持ち歩くことが可能でした。利便性のある反面、紛失時の情報流出の観点から、結局自分の業績を持ち運ぶくらいでした。でも、ハンドヘルドに入っている必要がないし、フィールド数やデータ数に制限があり、使いやすいとは言えませんでした。  Bentoは、MacOS上ではパスワードなしで開けるので、当たり障りのない情報しかあつかえません。iPod touchはパスワードを何度か間違えるとデータが消去されるように設定可能。住所・スケジュールは標準装備なので、後はメモなどかなあ? 山ほどあるスケールも入れておきたいなあ。今は、 Air Sharing を使って、テキストやPDFなど放り込んで持ち歩いています。でも、先日は内科の認定医の番号が書かれていなくて(書き直しをコピーし忘れ)、Macを起動して調べたっけ。その辺が解消するかなあ。   EverNote というフリーウェアでも、似たようなことができそうです。

国立新美術館と森美術館

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  故黒川紀章氏設計 の 国立新美術館 で開催された、 「ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち」 に行ってきました。「子ども」の描写の変遷がわかります。雨が降っていましたが、国立新美術館は乃木坂駅から直結、便利です。  そのあと、 南翔饅頭店 に小龍包を食べに六本木ヒルズへ移動、夕食には早かったので 東京シティビュー に行ったのですが、 森美術館 と共通チケットだったので、そちらも見てきました。「万華鏡の視覚:ティッセン・ボルネミッサ現代美術財団コレクションより」という企画でしたが、かなりかっとんだ現代美術で、非常に良かったです。  日本の美術館は入場料が高いですが、最近は企画がすばらしいです。

鎌ヶ谷シンポジウム 認知症研究の最前線 第1回

  鎌ヶ谷総合病院 で開催された、鎌ヶ谷シンポジウムに参加しました。   福島県立医科大学の橋本康弘先生 からは、正常圧水頭症(iNPH)における髄液の糖タンパク質糖鎖についてのご講演がありました。生体内のタンパク質のほとんどは糖鎖を持っているそうです。付いてないのはアルブミンくらい。腫瘍マーカーのほとんどが糖鎖。髄液中の蛋白では、血清とほぼ同様の糖鎖があるのですが、髄液型の糖鎖も。投稿前ということで詳細は割愛しますが、この糖鎖のひとつが、脈絡叢に多い、それがiNPHでは髄液中で少なかったとのことでした。iNPHの成因に髄液吸収障害説がありますが、その代償として脈絡叢での髄液産生抑制があるとしたら...などと、臨床医に興味をさそう基礎研究で、今後の論文が期待されます。  東京国際大学の森朋子先生から、鎌ヶ谷総合病院千葉神経何秒医療センター湯浅龍彦先生との共同研究で、iNPHのシャント術後の認知機能評価についての発表がありました。 Mini-mental state examination (MMSE) 、 Frontal assessment battery (FAB) 、 Trail making test (TMT) を使用していますが、シャント術後の歩行障害の改善が認めても、認知機能はそうでもなかったとのこと、iNPHでの最適なバッテリーが求められます。  東京大学古和久朋先生からは、第61回米国神経学会議の中で、とくに Alzheimer's Disease Neuroimaging Initiative(ADNI) についての最新情報がプレゼンテーションされました。日本でも J-ADNI が進行中ですが、米国のADNIが先行しています。MCIのうち16.5%がアルツハイマー病にコンバートしたそうです。また、MRIでは、正常加齢で海馬・側頭葉の萎縮が1.2%/年なので、MCIでは2.0%/年、アルツハイマー病では2.5%/年でした。ApoE4アレル保有者では、正常の人でもPiB PET陽性だったとか。所詮免疫染色のようなもので、健常者の病理でも老人斑が認められることもあるように、認知症がない方でPiB PETが陽性だから今後必ずアルツハイマー病になるとは限らない、ということです。J-ADNI代表の岩坪威先生のAβの論文は、 Iwatsubo T et