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9月, 2011の投稿を表示しています

第10回神経疾患懇話会

川口駅前市民ホール「フレンディア」で開催された、第10回神経疾患懇話会において、認知症の講演をしました。アルツハイマー病の診断基準が20年ぶりに変更され、バイオマーカーが重視されるようになったこと、前頭側頭葉変性症の異常タンパクが解明されてきたこと、嗜銀顆粒性認知症のことなどをお話しいたしました。講演したと言っても、司会はレジデント時代にご指導いただいていた荒木先生、audienceには私の師匠の同級生である路川先生、私が研修医時代に医局長だった添田先生など、蛇ににらまれたカエル状態...

埼玉みさと総合リハビリテーション病院の見学

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埼玉みさと総合リハビリテーション病院に見学に行きました。まずは明るいエントランス。 訓練室も広いのですが、病棟のスペースも広いです。 バルコニーもリハビリテーションに利用されているそうです。 これまでいくつかリハビリテーション病院は訪問しておりますが、設計時からかなり考えて作られたことが想像できます。 ハード面もさることながら、スタッフ数も充実していました。

MTS形式(AVCHD/AAC)を編集する

rtPAの治療効果の動画を編集しました。後輩からもらったファイルが________.MTS。 AVSHD のビデオで撮ったのですね。直接Macで見るには、VLCやMPlayerXを使用しようすればいいのですが、iMovieやFinal Cut Express 4(Final Cut Proではございません)では読み込めず。AVSHDのビデオカメラから直接読むことはできるんですが。ということで、ファイルをコンバート。ネットで検索するといろいろ出てきましたが、フリーソフトの Miro Video Converter を使ってみました。App Storeから「カテゴリ」→「ビデオ」でどうぞ。64ビットだし、インターフェースは極めてシンプル。 Final Cut Express 4、一応Lionで動きましたが、レンダリングがうまく行かないことがありました。時間が長いシークエンスがうまく行かないようで、カミソリツールで短くすれば大丈夫でしたが、ちょっと面倒... ただ、iMovieではできない、顔などのボカシ作業(刻一刻顔の位置が動くので、ボカす領域を動かしたりサイズを変えたりします)は可能でした。患者さんのビデオを提示するには、Final Cutシリーズは必須です。 Final Cut Proは、App Storeのカスタマレビューを見ると酷評多し。プロには評判悪いのかなあ。 こちら からtrialがダウンロード可能になっていました。試しに使ってみましたが、速攻消去。酷評に同意。

ある座談会

クローズの会はブログに載せていなかったのですが、注目の論文だけリンク貼りました。 clopidogrelとaspirinの長期予後の論文は こちら 。 抗血小板剤の併用についての論文は こちら 。 clopidogrel resistanceの論文は こちら 。 clopidogrelの日本人適正量の論文は こちら 。 clopidogrelの安全性の論文は こちら 。 REACH registryは こちら と こちら(日本の死亡率は他国より低い) 。 頭蓋内のステントと薬物療法の比較は こちら 。 CYP2C19のgenomeとclopidogrelの臨床研究は こちら 。 冠動脈疾患のclopidogrel loading doseについては こちら 。脳はevidenceなし。

ラジカット発売10周年講演会

 ラジカット発売10周年講演会が開かれる椿山荘に移動。  九州大学北園孝成先生からは、 Fukuoka Stroke Registry の成果の一端が示されました。edaravoneと言えば腎機能障害、しかし多変量解析ではedaravoneはむしろ腎障害を減らす因子だったとか。 REBIOS では、脳卒中のbiomakerの探索。VREBIOSは、そのvaridation。  東京女子医科大学岡田芳和先生からは、内膜剥離術やバイパス術後の過還流による出血が、血圧コントロールとedaravone投与で予防できたという例が提示されました。  聖マリアンナ医科大学長谷川泰弘先生からは、 neurovascular unit の保護に関する講演がありました。 toll like receptorの論文は こちら 。penumbraの改善を目指して様々な脳保護療法が試みられましたが、基礎実験で成功しても臨床治験で成功したのはedaravoneだけ。発想を変え、 penumbra frozen 、と。そして、 Phase IIにbiomarkerを使用すべき と。FLAIR画像がMMP levelに関与という論文は こちら 。MMP-9と関与しているらしいhyperintense acute reperfusion injury marker(HARM)の論文は こちら 。尿酸投与がMMP-9を下げたという論文は こちら 。  国立循環器病センターの山口武典先生からは、Postmarketing Registry on Treatment with Edaravone in acute Cerebral infarction by the Time window of 4.5 hour(PROTECT4.5)と名付けたedaravoneの特定使用成績調査の中間報告がありました。tPAとedaravone投与のタイミングについてもデータが出てくるかもしれません。

第28回日本医学会総会特別企画

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東京ビッグサイトで第28回日本医学会総会特別企画が開催されました。第28回日本医学会総会は4月8日〜10日に開催予定でしたが、東日本大震災で中止になりました。 「震災後の地域社会と医療」というシンポジウムがありました。 岩手医科大学坂田清美先生は、被災者の健康状態の調査結果が提示されました。岩手県大槌町は人口の10.2%が死亡または行方不明と、被害は甚大です。阪神淡路大震災との違いは、行政機能が破壊されたことでした。特に大槌町は、町長がお亡くなりになり、役所の課長クラスのほとんども他界された状態に。そうすると、避難所がどこにあるか、どなたがいらっしゃるのか、情報発信できる部署がありません。実際、空の避難所が存在し、それは、物資の供給がないから、供給がある避難所に皆さんが移動していったから。思うに、クラウドコンピューティングのように、住民台帳やカルテが被災地以外の場所にあったら、国民総背番号制が実現していたら、別な自治体の支援が容易だったのではないでしょうか。被災者の健康状態調査の精査は、公衆衛生的な側面の他、危機管理のヒントを与えてくれることでしょう。 石巻赤十字病院石井正先生からは、救護活動の実態が示されました。ご講演内容の一部は、 ここ に記事がありましたので、ご参考に。石巻市は、元々宮城県沖地震が将来起きた場合、甚大な被害を受けると予想されていて、震災に備え、2010年1月には自治体、基幹病院、医師会、自衛隊、警察など災害医療の実務担当者によるネットワーク協議会が発足していました。震災1カ月前の2011年2月には、宮城県が、石井先生に県の災害医療コーディネーターを委嘱、災害発生時に石巻市など沿岸部の医療提供体制をつくるための調整役を任せていました。そして、震災。院長は、石井先生に全権委任しました。通常、震災直後は、クラッシュ症候群など外傷患者が多く搬送されるのが常ですが、過去の地震の経験から耐震性が高い建築物が多かったため重症外傷患者は思いのほか少なかったそうです。津波被害は恐ろしく、救急搬送が必要な状態を許さない... つまり、 死者・行方不明の数に比べ、負傷者が少ない 。Disaster Medical Assistance Team(DMAT)や広域医療搬送拠点(Staging Care Unit、SCU)のニーズは、それほど大きくならなかったよう

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posterior reversible encephalopathy syndrome

脳外科神経内科合同カンファレンスで動脈瘤が見つからなかったSAHの症例が提示されましたが、その考察の中で、posterior reversible encephalopathy syndrome(PRES)が鑑別に上がりました。 PRESも出血する のですね。 reversible cerebral vasoconstriction syndrome(RCVS) との違いは、 臨床神経の症例報告 に書かれていました。Thunderclap headacheの鑑別診断については こちら 。

メマリー新発売講演会

ホテルオークラで開催された、メマリー新発売講演会に行きました。東京医科大学羽生春夫先生からは、認知症の診断や治療についての講演がありました。高血圧や糖尿病など、いわゆる生活習慣病もアルツハイマー病のリクスファクターで、運動の認知症予防効果が証明されています。認知症介護研究・研修東京センターの本間昭先生からは、アルツハイマー病治療に関する講演がありました。ドネペジルに加え、ガランタミン・リバスチグミン・メマンチンが治療薬として加わりましたが、アルツハイマー病治療薬は効果を実感しにくいため満足度が低く、治療目標が難しいのが欠点です。これらがアルツハイマー病を治癒するわけではなく、一時的な認知障害の改善はあり得るものの、必ず進行するからです。しかし、症状の進行を遅らせることはできる(slowing progression)。これを患者家族も医療者側も理解する必要があります。また、ケアマネージャーなど介護と医療が連携し、環境を整えることで、患者も家族もQOLがあがった事例が紹介されました。ドネペジルの副作用に不眠がありますが、 ガランタミンでは不眠が少ない そうで。メマンチンは攻撃性を減らし、抗精神病薬の使用量も減らせると。

第79回日本医科大学医学会総会

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日本医科大学同窓会橘桜会館において、第79回日本医科大学医学会総会が開催されました。 私は、日本医科大学付属病院と日本医科大学千葉北総病院における入院患者の脳梗塞病型の違いについて発表しました。千葉北総病院は、脳卒中データバンクなどで報告されている平均的な病型分布ですが、付属病院は軽症のことが多いラクナ梗塞が少ないという結果でした。東京都は 脳卒中の救急搬送システム が完成、医療圏内に病院が多数あり、3次救急の付属病院には心原性脳塞栓など重度の脳卒中を中心に搬送されます。一方千葉北総病院も3次救急を担いますが、 脳卒中地域連携パス ・脳卒中ホットライン・高い逆紹介率など医療連携に力を入れているため、ラクナ梗塞のような軽症の脳卒中も紹介されます。急性期リハビリテーションが充実していますから、短期間でリハビリテーションを集中的に行うべきラクナ梗塞の診療にも対応できます。