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第3回印旛脳卒中地域連携パス講演会の議事録

2008年12月3日に開催した第3回印旛脳卒中地域連携パス講演会の議事録をアップしました。 こちらよりPDFファイルをダウンロードできます 。

認知症国際フォーラム:午後の部

認知症国際フォーラム の午後の部は、地域の認知症診療についてです。  日本医科大学武蔵小杉病院内科北村伸先生からは、 街ぐるみ認知症相談センター の試みをご紹介いただきました。タッチパネル式のコンピュータによるもの忘れチェックシステムがあるそうです。相談は無料、文部科学省と川崎市からの援助があるそうです。老人会から始まって、医師会・ボランティアグループ・地域包括支援センターなどとの連携も構築されたそうです。  その後は劇団SOSによる認知症患者を地域で支える寸劇が披露されました。素人の役者ということでしたが、ユーモアたっぷりで、しかし認知症の徘徊に対処する方法がよくわかる劇でした。笑いも起こっていましたが、現場を知っている人たちには笑えなかったと思います。徘徊については、近隣住民の力は大きいです。劇による啓発活動は期待できます。愛犬を散歩につれて行く方による、ワンワンパトロールも興味ある試みです。  グループホームふぁみりえの大谷るみ子さんから、街ぐるみの徘徊模擬訓練や小中学校での出前絵本教室など、大牟田市の事例が紹介されました。  スウェーデンのシルビアホームWilhelmina Hoffman先生からは、スエーデンの国家ぐるみの取り組みが紹介されました。シルビアホームについては、 こちらに詳しく書いてありました 。 スウェーデン認知症センター が情報発信に重要な役割を担っているようです。  ベルギーのヘールOPZリハビリテーションのLieve Van de Walle先生から、ヘールにおけるfoster parent(里親のようなもの)による精神疾患患者のケアシステムの紹介がありました。ネットで調べたところでは、 ここが詳しいですが英語です 。WHOが「最も伝統あるコミュニティ型精神衛生プログラムが実施されている街」と紹介したこともある事例ですが、ベルギーでもここだけのシステムで、国からの援助もなく、病院が赤字を埋め合わせているそうです。foster parentの報酬は1日たった18€。700年も続くこのシステムのきっかけは、 悲しい伝説 でした。ハイビジョンでその様子を見せていただきましたが、精神疾患の方で落ち着いた状態ですと、このシステムは有効でしょう。アルツハイマー病のような進行性の疾患ではどうでしょうか。また、日本に導入するにはなかなかハードルが高そう

認知症国際フォーラム:午前の部

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 東京国際フォーラムで開催された、 認知症国際フォーラム「ひとりで悩まない認知症〜予防・診断・治療と理想の街ぐるみネットワーク〜」(文部科学省私立大学学術研究高度化推進・社会連携研究事業) に参加しました。日本医科大学老人病研究所と川崎市などが中心になって開催された市民公開講座です。午前の部は診断と治療のこと、午後の部は地域連携のお話でした。  まずは、 脳機能研究所 武者利光先生から、脳波のマッピングを使った認知症診断のお話がありました。健常者では滑らかなα波の動きが、アルツハイマー病ではムラがある様子がよくわかりました。このムラを数値化し、診断に応用するというものです。確かにこれなら、MRIやPETと比べると費用はかからず健康診断でもできそうです。実際の診断への応用はこれからだそうです。   東京都老人総合研究所ポジトロン医学研究施設 石井賢二先生からは、FDGとアミロイドイメージングの解説がありました。アルツハイマー病治療の介入により、前頭葉のブドウ糖代謝が増加、しかし側頭頭頂葉は減少する様子などが提示されました。アミロイドイメージングを初めてアメリカの各医学学会で画像を見たときは衝撃を覚えました。アミロイドは発症10〜20年前からたまっていて、それが画像化できることで、発症前に診断できる可能性があるわけです。まだ実際に発症前診断が正しかった証拠がありませんが、次の話の根本治療が実現すれば、大変なインパクトです。  次に国立長寿医療センター田平武先生からは、ワクチン療法の概説がありました。注射では脳炎になってしまって治験が中断、田平先生のグループは経口摂取による腸管免疫に目をつけられたわけですが、なかなか実現しなかったのは、国有の特許でしたか... それから、30分以内の睡眠がアルツハイマー病の予防におすすめとか。 朝田隆先生の論文はこちら 。   日本医科大学老人病研究所太田成男先生 ・ 大澤郁朗先生 からは、水素による酸化ストレス除去のお話がありました。気体で水素を吸入するのは即効性がありますが、水素ボンベを長期に使用するのは困難。 水素は水に溶けやすく、それを飲む方が現実的とか 。 Nature Medicine 13, 688 - 694 (2007) をご参照ください。脳梗塞の急性期治療に応用できればいいですね。

Parallels Desktop 4.0

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Parallels Desktop 4.0 をダウンロードで買いました。でも安易に使い始めてはいけません。まずは、version 3のゲストOSをバックアップしましょう。  CentOSの方は意外と簡単にversion upしました。しかし、Parallels Toolsをインストールすると、画面の解像度が1280x1024以下になってしまいます。私は、Dr.View/Linuxを使う関係で、1400x1050がありがたいのですが... これでは困るので、/etc/X11にある、xorg.confをxorg.conf.backupを使って元にもどしました。Parallels Toolsは使えず、マウスがMacOSとシームレスに動かないのは困りますが、controlとoptionを押しながらマウスをクリックすれば、MacOSのカーソルになるので、我慢します。  WindowsXPの方は、何度も再起動で一時再アクティベートを要求されましたが、Parallels Desktop 4.0の指示通りにやっていったら、再アクティベートは不要でした。  確かに、ゲストOSの動きは3.0より速いような気がします。

PMOD 3.0 build 3

build 2が出たと思ったら、 PMOD 3.0のbuild 3 がアップされていました。

PMOD 3.0 build 2

PMOD 3.0のbuild 2 がアップされていました。build 1では、version 2.9からのupgrade userではデータベース機能が使えなかったのですが、データベースを使ったデータ管理ができるようになっていました。

第4回成田印旛透析カンファレンス

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 日本医科大学千葉北総病院で開催された第4回成田印旛透析カンファレンスにおいて、脳卒中地域連携パスの講演をしました。 印旛脳卒中地域連携パス:InCliPS の概説もしました。  今回日本医科大学千葉北総病院脳神経センターの約11年間の入院サマリーデータベースを解析したところ、透析患者さんでは脳卒中の中でも脳内出血が多いことがわかりました。これは他施設のデータでもそうでした。 Iseki K, Fukiyama K; Okawa Dialysis Study (OKIDS) Group. Clinical demographics and long-term prognosis after stroke in patients on chronic haemodialysis. The Okinawa Dialysis Study (OKIDS) Group. Nephrol Dial Transplant. 2000 Nov;15(11):1808-13 大木剛、慢性透析患者における脳卒中の診断と治療の実際。Pharma Medica Vo l. 24 No.72006 117, 2006  また、透析患者さんでは、急性期病院での治療を終えてご自宅に戻れない方は、透析ができる病院に転院されます。しかし、リハビリテーションはできないことがほとんど。これを解決するシステムを作らなければなりません。透析病院に訪問リハをお願いするか、リハビリテーション病院に入院して、通院の透析をするか。本格的なリハビリテーションができる透析病院か、透析もできるリハビリテーション病院が理想ですが...  脳梗塞の場合、アルテプラーゼによる血栓溶解療法例や心原性脳塞栓などで劇的に症状が改善するSpectacular Shrinking Deficit例を除くと、寝たきりの重症の方が専門施設で治療したから職場復帰できるようになった、ということはありえません。つまり、重症脳梗塞の場合は、専門施設で治療しても専門外の施設でも、社会経済の視点からは大きく変わらないと言えるかもしれません。しかし軽症の方は違います。専門病院で薬物治療とリハビリテーションをしっかりやれば、専門外の施設で治療した結果退職を余儀なくされる方が、職場復帰できることは良くあると思います。医師は、歩行できる様子を見て「良くなった」

第3回印旛脳卒中地域連携パス講演会

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 千葉県佐倉市の ウィシュトンホテル・ユーカリ において、第3回印旛脳卒中地域連携パス講演会を開催しました。 印旛脳卒中地域連携パス:InCliPS の会議です。今までは急性期から回復期の連携を中心に検討してきましたが、今回は宍戸内科医院の宍戸英樹先生に、かかりつけ医・在宅医療の現状と対策についてご講演いただきました。在宅医療の経験の有無で認識が異なること、佐倉市の試みなど、勉強になりました。私からは県統一パスの見通しをプレゼンしました。新八千代病院荒井泰助先生からは回復期施設の立場から、地域リハビリテーションと千葉県の状況についてお話がありました。その中で、抗血小板薬の選択理由とMRI所見について回復期が求めていること、パス導入で入院日数や転院までの期間が短縮されたことが報告されました。最後のパネルディスカッションでは、各業種の代表によるパスに関する議論をしました。急性期が考えた情報提供と回復期側が欲しい情報の解離、患者と家族の後遺症回復の認識の問題などが浮き彫りになりました。後日簡単な議事録を出す予定です。  千葉県統一パスの運用方法によっては、この会を発展的解消するか、別個に運営していくのか、千葉県統一パス会議の一つとして運用していくのか、微妙な状況です。いずれにせよ、2009年7月に「千葉北脳卒中地域連携パス研究会」と名称を変えて開催される予定です。