第2回千葉北脳卒中地域連携パス研究会

 ウィシュトンホテルユーカリにおいて、第2回千葉北脳卒中地域連携パス研究会が開催されました。この会は、印旛脳卒中地域連携パスの会議です。2010年11月の世話人会で日程や内容を決定しました。しかし、大震災で開催そのものも危ぶまれましたし、演者の異動があり内容の修正もありました。正式なプログラムが完成したのが遅かったので、参加者が少ないのではと思われましたが、140名以上のご参加をいただきました。
 今回は、行政と医師会にプレゼンをお願いしました。印西市印西地域包括支援センターの山田美香子先生からは、ケアマネージャーに地域連携パスは認知されてるものの、実際に受け取ったことがほとんどない現状が提示されました。印西市が在宅のリハビリテーションを提供する施設が少ないことも問題です。新八千代病院高橋朋之先生からは、リハビリテーション病院のソーシャルワーカーの立場から、千葉県共用脳卒中地域連携パスの運用状況が報告されました。1年で170例以上、地域生活期に向けて発行されたそうです。八千代市と印西市の違い? あるいは、かかりつけ医でパスが止まっている? パスの普及から、評価も重要であると。印旛市郡医師会の志津雄一郎先生からは、アンケート調査から見えた急性期病院の施設格差が明らかに。パス発行数もそうだし、紹介/逆紹介の割合も相当違いました。日本医科大学千葉北総病院は、千葉県共用脳卒中地域連携パスを作成するためのデータベースを、オーダリングシステムとリンクしたので、着実に発行されております。
 有田内科整形リハビリクリニックの有田元英先生をお招きして、リハビリテーションの診療所の役割について、ご講演いただきました。最近は、慢性期の拘縮であっても、フェノールブロック療法やボトックスなど薬物療法を併用しながらリハビリテーションを実施することで、ADLをあげることが可能なようです。
 最後はパネルディスカッション。印旛脳卒中地域連携パスの会議では、いつも議論が白熱します。千葉県共用脳卒中地域連携パスは、それなりの分量があり、批判もあります。ただ、そもそも何故パスができたか。医師によっては紹介状の内容が2〜3行程度のものもあるし、「急性期病院の自慢話」が中心で回復期施設が欲しい情報が欠落していることも少なくない。その情報の質を担保するために、共通のフォーマットができたわけで。分量が多い分、その見方にもコツがありそうだ、と日本医科大学千葉北総病院原行弘教授のコメントがありました。パスを小さくする試みも必要との意見もありましたが、今はとにかく使う、書くところが多すぎるなら、書けるところだけ書く、というスタンスがいいのではと志津先生のコメントがございました。


 東京の日本医科大学付属病院は、未だ一通も脳卒中地域連携パスを発行しておりません。連携パスが無くても、リハビリテーション病院への紹介は滞っていません。日本医科大学付属病院が満床でも周りに病院がたくさんありますから、入院日数も気にしません。何と言っても、東京は脳卒中の救急搬送システムが整っています。

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