第52回日本神経学会総会終了


 今回の学会は企画が工夫されていました。「朝から晩まで神経内科」がそのひとつです。今後専門医を目指す先生向けの講演です。いつも朝開催される教育講演よりも、実際の日常診療に直結するレクチャーです。Movement disorderの学会では毎回ありました(ここここをご参照)。大学教育でObjective Structured Clinical Examination (OSCE)が導入されていますが、学生をチェックする側も、エキスパートの診療は大変勉強になります。相模原病院長谷川一子先生の不随意運動の見方を拝聴しましたが、chorea acanthosisではchoreaは体幹に多い、ジストニアの歩行は前向きより後ろ向き歩行の方がうまいし、走る方がスムースなど、ビデオでも拝見できました。ただ、大混雑で会場には入れませんでした。名大のスタッフのお話では、同時進行のシンポジウムなども面白い企画ぞろいだったので、予想できなかったそうで。日本医科大学第二内科も脳卒中学会を開催予定ですが、学会運営は難しいですね。

 5月17日のオープニングセミナーでは、脳の可塑性についてのお話を聞きました。東京大学尾藤晴彦先生からは、分子機構についてのお話でした。シナプス刺激でCREBを介したmRNA転写があるとか。Arcについてはこちら。synaptic activity response element (SARE)はこちら。福島県立医科大学の宇川義一先生からは、磁気刺激によるヒト脳の可塑性についての講演でした。宇川先生が「Hamada先生はラッキーだった」と評したquadripulse stimulation (QPS)の論文はこちらこちらこちらも。神経内科医としては、最終的に治療に結びつけたいわけですが、疾患脳では結果がまちまちでevidenceとして出すのはむずかしいそうです。やっぱりanimal studyを先行させるべきとのことでした。森之宮病院服部憲明先生からは、リハビリテーションの立場から、constraint-induced movement therapy (CI療法)などの効果をfMRIなどで評価した研究が紹介されました。
 全員懇親会では、いろいろな情報を収集できました。名古屋名物の有名店が一堂に会し、手羽先・きしめん・海老フライ・みそかつなどが堪能できました。東北の日本酒もおいしかったです。
 
 面白い演題も多く、広い会場を行ったり来たりでした。

 私自身は、パーキンソン病のCFT & RAC PETの研究についてポスターを出しました。


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