認知症国際フォーラム:午前の部


 東京国際フォーラムで開催された、認知症国際フォーラム「ひとりで悩まない認知症〜予防・診断・治療と理想の街ぐるみネットワーク〜」(文部科学省私立大学学術研究高度化推進・社会連携研究事業)に参加しました。日本医科大学老人病研究所と川崎市などが中心になって開催された市民公開講座です。午前の部は診断と治療のこと、午後の部は地域連携のお話でした。
 まずは、脳機能研究所武者利光先生から、脳波のマッピングを使った認知症診断のお話がありました。健常者では滑らかなα波の動きが、アルツハイマー病ではムラがある様子がよくわかりました。このムラを数値化し、診断に応用するというものです。確かにこれなら、MRIやPETと比べると費用はかからず健康診断でもできそうです。実際の診断への応用はこれからだそうです。
 東京都老人総合研究所ポジトロン医学研究施設石井賢二先生からは、FDGとアミロイドイメージングの解説がありました。アルツハイマー病治療の介入により、前頭葉のブドウ糖代謝が増加、しかし側頭頭頂葉は減少する様子などが提示されました。アミロイドイメージングを初めてアメリカの各医学学会で画像を見たときは衝撃を覚えました。アミロイドは発症10〜20年前からたまっていて、それが画像化できることで、発症前に診断できる可能性があるわけです。まだ実際に発症前診断が正しかった証拠がありませんが、次の話の根本治療が実現すれば、大変なインパクトです。
 次に国立長寿医療センター田平武先生からは、ワクチン療法の概説がありました。注射では脳炎になってしまって治験が中断、田平先生のグループは経口摂取による腸管免疫に目をつけられたわけですが、なかなか実現しなかったのは、国有の特許でしたか... それから、30分以内の睡眠がアルツハイマー病の予防におすすめとか。朝田隆先生の論文はこちら
 日本医科大学老人病研究所太田成男先生大澤郁朗先生からは、水素による酸化ストレス除去のお話がありました。気体で水素を吸入するのは即効性がありますが、水素ボンベを長期に使用するのは困難。水素は水に溶けやすく、それを飲む方が現実的とかNature Medicine 13, 688 - 694 (2007)をご参照ください。脳梗塞の急性期治療に応用できればいいですね。

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