第4回成田印旛透析カンファレンス


 日本医科大学千葉北総病院で開催された第4回成田印旛透析カンファレンスにおいて、脳卒中地域連携パスの講演をしました。印旛脳卒中地域連携パス:InCliPSの概説もしました。

 今回日本医科大学千葉北総病院脳神経センターの約11年間の入院サマリーデータベースを解析したところ、透析患者さんでは脳卒中の中でも脳内出血が多いことがわかりました。これは他施設のデータでもそうでした。
Iseki K, Fukiyama K; Okawa Dialysis Study (OKIDS) Group. Clinical demographics and long-term prognosis after stroke in patients on chronic haemodialysis. The Okinawa Dialysis Study (OKIDS) Group. Nephrol Dial Transplant. 2000 Nov;15(11):1808-13
大木剛、慢性透析患者における脳卒中の診断と治療の実際。Pharma Medica Vo l. 24 No.72006 117, 2006
 また、透析患者さんでは、急性期病院での治療を終えてご自宅に戻れない方は、透析ができる病院に転院されます。しかし、リハビリテーションはできないことがほとんど。これを解決するシステムを作らなければなりません。透析病院に訪問リハをお願いするか、リハビリテーション病院に入院して、通院の透析をするか。本格的なリハビリテーションができる透析病院か、透析もできるリハビリテーション病院が理想ですが...

 脳梗塞の場合、アルテプラーゼによる血栓溶解療法例や心原性脳塞栓などで劇的に症状が改善するSpectacular Shrinking Deficit例を除くと、寝たきりの重症の方が専門施設で治療したから職場復帰できるようになった、ということはありえません。つまり、重症脳梗塞の場合は、専門施設で治療しても専門外の施設でも、社会経済の視点からは大きく変わらないと言えるかもしれません。しかし軽症の方は違います。専門病院で薬物治療とリハビリテーションをしっかりやれば、専門外の施設で治療した結果退職を余儀なくされる方が、職場復帰できることは良くあると思います。医師は、歩行できる様子を見て「良くなった」と満足しがちですが、ちょっとした後遺症でも職場復帰ができないケースが見受けられます。患者さんが、要介護で税金を使用しなければならないか(場合によってはご家族も職業変更)、税金を稼ぐ側になるかの違いがあります。そう考えれば、軽症の脳梗塞患者さんに、医療資源を重症の方同様に投入することは無駄にならないどころか、社会全体に有益なのです。
 それでは、Stroke Care Unitを有する3次救急病院が何でも見てくれるのか... 千葉県は先日の厚労省の発表でも埼玉県に次いで医師が少ない状態、急性期病院がバタバタ倒れ、残ったところは疲弊、問題山積です... ドクターヘリや連携パスは解決策の一部でしょうが、これだけで解決することは思えません。

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