第20回Post Stroke Depression研究会

 東京會舘で開催された、第20回Post Stroke Depression研究会に参加しました。これまで、第16回第18回第19回と参加してきましたし、脳卒中後うつの有病率の調査にも協力してきました(印旛脳卒中地域連携パスにMINIを採用しました)が、今回で終了です。
 慶応義塾大学精神神経科の穴水幸子先生からは、左橋梗塞後のうつ状態の症例が報告されました。右前頭前野の脳血流低下も伴っていたとか。フルボキサミンが効果的だったそうです。散歩など運動の他、ブログで社会とのコンタクトを持つことも効果的だったようです。
 松見病院の柏瀬宏隆先生からは、病跡学の視点から、脳卒中後うつと自殺に関する講演がありました。江藤淳氏の自殺が検証されました。とはいっても、カルテがあるわけではなく、公表されている情報、著書などから判断しなければならないのが病跡学の限界です。しかし学ぶべきことはたくさんありました。妻に先立たれた脳卒中の男性が一人暮らしの場合、神経内科医もしくは脳神経外科医だけでなく、精神科医やカウンセラー、ケアマネージャーなどチーム医療と地域との連携で退院後のサポートすべきだそうです。脳卒中後うつは前頭葉など病巣が直接の原因の場合もあるが、脳梗塞後遺症による苦悩がうつの原因の場合もある。抑うつを伴うpost stroke depressionとpost stroke apathyは区別すべきでは、とのことでした。
 立川病院篠原幸人先生からは、本会の総括もかね、Post-stroke syndromeと題してお話がありました。日本医科大学千葉北総病院脳神経センターも参加した、OASIS studyの論文がまもなく出版されるそうで、その研究で使用したSF-36v2と Japan Stroke Scale Depression score(JSS-D)の解析の中で、うつと自覚症状・精神症状の関連が明らかになったとのことでした。脳卒中ガイドライン2009でも、脳卒中うつに対する抗うつ剤、特にSSRIは推奨されています。meta-analysisでも証明されていて、長期投与が有効だとか。

コメント

このブログの人気の投稿

認知症診療セミナー