Fighting Vascular Event in Chiba

 オークラ千葉ホテルでFighting Vascular Event in Chibaに参加しました。
 千葉大学脳神経外科の小林英一先生からは、頚動脈プラークの画像についてご講演がありました。内頚動脈ステント術(CAS)は、当初内頚動脈内膜剥離術(CEA)が困難な症例が対象でしたが、適応症例が広がってきました。ステントで問題なのは、ステントを広げるときのdebris。脆弱なプラークを術前に診断する必要があります。普及しているのは頚動脈ECHOで、低輝度なものが脆弱プラーク。MRIもいいようです(CirculationRadiologyの論文)。そしてなんとFDG PETがよろしいようです
 東京医科大学内視鏡センターの河合隆先生からは、アスピリンなど抗血小板剤による胃粘膜病変について、内視鏡所見を中心に解説いただきました。H. pyloriは5歳までに感染するそうですが、感染率は減少傾向にあるようです。これに対し、防御因子を低下させるNSAIDによる胃潰瘍が増加しているそうですまた両者が重なるとリスクは増加します。そして、アスピリンなど抗血小板剤による胃粘膜病変が問題になっています。アメリカのガイドラインには、アスピリンによる胃潰瘍の予防として、H. pyloriの除菌を推奨しています。一度除菌すると再発はまれとか。河合先生のアスピリンの影響を見た臨床研究は印象的でした。アスピリン潰瘍は意外と浅く、内視鏡前に数日アスピリンを中止すると治ってしまうことも多いようです。アスピリン以外の抗血小板剤でも、胃粘膜防御策はやっておいた方がいいとおっしゃっていました。
 東京歯科大学市川総合病院の野川茂先生からは、先頃発表されたばかりのCSPS-IIと脳卒中治療ガイドライン2009を中心に脳梗塞治療のレクチャーがありました。ECAS-IIIでは、tPAのtheraputic windowが3時間から4.5時間に延長されましたが、やはり出血は増えるようです。私たちはクロピドグレルを使うことが多くなりましたが、日本人は欧米人より肝機能障害が多いので注意が必要です。また、オメプラゾールなどPPIと併用すると、薬効が減るそうです。CSPS-IIで、シロスタゾールはアスピリンより出血合併症が少なかったとのこと。虚血性脳血管障害の再発予防など、詳細は論文を待ちましょう。

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