BPSD Online Seminar

 BPSD Online Seminarにおいて、アルツハイマー型認知症の認知症の行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia: BPSD)について講演しました。

認知症疾患診療ガイドライン2017はこちら、Amazonはこちら

BPSDはかつて周辺症状と言われていました。英語の論文ではneuropsychiatric symptoms(NPS)と呼ばれます。認知機能障害を基盤に、身体的要因・環境的要因・心理的要因などの影響を受けて出現し、活動亢進・精神病様症状・感情障害・アパシーに分類されます。

認知症で出現しますが、軽度認知障害(mild cognitive impairment: MCI)の時期にも認めれれます。こちら。アルツハイマー病の病期に応じ、BPSDの種類が異なります。agitationは中期で認められることが多い。こちら。International Psychogeriatric Associationの認知症におけるagitationの定義はこちら。国内のBPSDの調査で、アルツハイマー型認知症のagitationは進行するにつれて多くなり、介護者の負担にも。しかしCDR 0.5のMCI相当でもあり。こちら

東京都の認知症疾患医療センターはこちら。認知症疾患医療センターの役割としてBPSDの急性期対応がありますが、閉鎖病棟に入院するほど悪化させないことが主治医の役割でしょう。その一つは、薬剤の調整です。睡眠導入剤、向精神薬のほかに、神経障害性疼痛に対する薬剤・季節性鼻アレルギーに対する抗ヒスタミン剤など、複数の医療機関から眠気がある薬剤が高齢者に結果的に同時に処方されてしまっていることがよくあります。お薬手帳のチェックが重要です。

BPSDが家族の対応によって起こる場合もありますが、医療者は家族の苦悩を把握しなければなりません。こちら。介護者の精神を安定させるために、介護保険の利用を勧めます。また、介護・看護のテクニックとして、ユマニチュードバリデーション療法があります。

かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第2版)はこちら。第3版もまもなくでます。こちらにはbrexpiprazolが入ってきます。国内臨床試験の結果はこちら。認知症での向精神薬使用は適応外使用になりますが、昨年brexpiprazolが「アルツハイマー型認知症に伴う焦燥感、易刺激性、興奮に起因する、過活動又は攻撃的言動」に対する効能・効果が承認されました。

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