第53回日本神経学会総会
第53回日本神経学会総会が開催されました。
最近は脳神経内科も治療できる疾患がある時代、いくつか刺激的な情報を得ることができました。
私は本日5月26日ポスターで骨折での入院患者における認知症ケアチーム介入の実態を報告しました。日本医科大学武蔵小杉病院に身体疾患で入院した認知症患者は全体の1割。肺炎に次いで骨折が多い。整形外科に骨折で入院した全患者のうち、実に1/3が認知症。日本医科大学武蔵小杉病院は川崎市の認知症疾患医療センターなので特に多いのかもしれません。しかしそれにしても多い。想像するに、整形外科単科の病院や脳神経内科・精神科がない一般の病院の整形外科にもたくさん認知症の入院があるのでしょう。ということは、整形外科病棟の看護師は認知症のケアが必須。トラブルがないよう、リアリティオリエンテーションやバリデーション療法を駆使して看護にあたることになります。医師も同様でしょう。今はあらゆる医療スタッフが認知症のコミュニケーション方法をマスターすべき時代ということです。そこで私たちはこの認知症ケア回診を教育に応用しております。来年発表します。
レクチャーマラソンでは中部ろうさい病院 神経内科 亀山隆先生から神経内科が診る頚椎症性脊髄症。レントゲンもdynamic canal stenosisを見よと。神経内科医の診察で分節診断も。
岩田誠先生(メディカルクリニック柿の木坂 神経内科)は「神経学的診察とは何か?」。単に診断することだけでなく、病態の探求としての科学的側面も重要と。教科書をうのみにせず、観察された現象を忠実に記載する。患者さんが教科書。
大山 彦光先生(順天堂大学医学部附属順天堂医院脳神経内科)のセミナーでは、脳深部刺激療法とLCIGの適応について。多職種のチームで多面的に評価すべきと。
特別講演は満屋裕明先生(国立研究開発法人国立国際医療研究センター研究所)より、「一臨床医のHIV感染症/AIDSの治療薬の研究・開発」。当時未知の致死的ウイルスであったHIVの治療に立ち向かい、創薬により、爆発的に増加した死亡者を劇的に減らしたのでした。こういう感じに、アルツハイマー病やパーキンソン病の治療もできれば...
ニューロリハビリテーションのセッションも衝撃的。BMI・HALなどは重症の脳卒中、神経難病にも治療効果が。治験も進んでおり、多くの患者が利用できる体制が待たれます。いつもながら、高草木薫先生(旭川医科大学脳機能医工学研究センター)のご講演は教科書にしてほしい...
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