第11回クリニカルPETフォーラム

 第11回クリニカルPETフォーラムが開催されました。

アルツハイマー病の疾患修飾薬について講演しました。

アルツハイマー病の疾患修飾薬の臨床試験は失敗続きでした。こちら

aducanumabのEMERGE試験でエンドポイント有意差ありでした。 ENGAGE試験は有意差なしでしたが、この二つを合わせてFDAに申請しました。これらの試験でのAmyloid-related imaging abnormalities(ARIA)についてはこちら。ARIA-Eの症例報告はこちら

lecanemabのClarity AD試験はこちら。lecanemab治験中のrt-PA投与例はこちら。これを受けて、静注血栓溶解(rt-PA)療法 適正治療指針 第三版 2023 年 9 月追補では、レカネマブ例で脳梗塞搬送は、可能であれば機械的血栓回収療法を優先、できなければMRIでAIRAを確認となりました。

ARIAに進展した患者の症状、米国でのレカネマブ投与体制はこちら

認知症に関する脳脊髄液・血液バイオマーカー、APOE 検査の適正使用指針 第2版はこちら

2023年12月13日に開催された中央社会保険医療協議会 総会(第572回)議事次第はこちら。ここでレカネマブの最適使用推進ガイドラインが発表されました。正式版はこちら。投与開始前1か月以内にMMSE  22/30以上、CDR 0.5または1が条件。

MMSEの原著はこちら。いくつかの日本語版があります。英語版から日本版を作成するには、単に翻訳するだけでなく、文化の違いも考慮する必要がある。そして、内容・採点法・難易度が等価であることが重要です。こちらMMSEには著作権があります。日本版であるMMSE-Jはこちらで購入。マニュアル通りやることが重要です。

Clinical Dementia Rating(CDR)はこちら。6項目について障害の軽い方から重い方へ順位付け(X1≦X2≦X3≦X4≦X5≦X6)を行います。複数項目の障害度が同じ場合は、表中の上の項目から順位を付けます。CDRの重症度判定はX3またはX4のレベルとし、X3とX4のレベルが異なる場合は、記憶の障害度に近い方となります。ちょっと複雑なので、こちらのサイトで計算することもできます。CDRもマニュアル通りにやるべきですね。

MoCAはこちら。各言語が用意され、マニュアルもあります。MMSEよりちょっと難しいです。軽度認知障害の評価もできます。最近のCOVID-19における認知機能障害の研究やパーキンソン病の認知症の評価にも使われています。無症候ではレカネマブ投与が認められていませんが、MCIかsubjective cognitive declineかを客観的に区別するにはMoCAは一番簡便です。

レカネマブの最適使用推進ガイドラインでは、初回投与〜6か月までは複数の専門医、初期認知症の鑑別診断ができる、MRIができる、2週間ごとの点滴ができるなどの条件を満たす施設に限定されました。

ARIA e-learningはこちら。軽症と中等度以上では対応が異なりますから、重症度の分類は熟知すべきです。

日本認知症学会・日本老年精神医学会合同講習会 「アルツハイマー病における抗アミロイドβ抗体薬の投与にあたり必要な事項」はこちら

初期アルツハイマー病診断のポイントは18F-FDG PETや脳血流SPECTでの後部帯状回での集積低下だと思います。箕島先生の論文はこちら。石橋先生の論文はこちら。脳内のアミロイド蓄積があればアルツハイマー病、ということにはなりません。結局旧来の臨床診断がベースになり、その上で初期アルツハイマー病と診断した場合に、レカネマブ投与が考慮される場合アミロイドの証明が必要になるのです。

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