病院見学会
独立行政法人労働者健康安全機構 東京労災病院 の病院見学会が開催されました。
instagramはこちら。
私は認知症の「予防」について講演しました。
アミロイドβの凝集過程はこちら。
抗アミロイドβ抗体薬はこちら。
lecanemabのClarity AD試験はこちら。
donanemabのTRAILBLAZER-ALZ 2試験はこちら。
認知症の予防は
- 一次予防 発症を防ぐ
- 二次予防 早期発見→早期対応
- 三次予防 認知症診断後の進行を食い止める
平成26年度の「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」では今ごろ本邦の認知症患者は700万人と推計されていました。
2024年6月に「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が施行されたことを受け、有病率調査と推計が再度実施されました。この調査では、2025年約450万人と推計されました。つまり、2014年の推計より減りました。軽度認知障害+認知症の有病率は大きな変化はありませんでした。この考察として、喫煙率の低下、糖尿病・高血圧など生活習慣病の治療の変化が挙げられました。逆にいうと、これらが認知症移行の予防策の一部と言えます。
Lancetの認知症予防の総説はこちら。
生涯を通じて認知症リスクを軽減するための具体的な行動として、以下が挙げられています。
- すべての人に質の高い教育が受けられるようにし、認知能力を保護するために中年期に認知を刺激する活動を奨励する
- 難聴者が補聴器を利用できるようにし、有害な騒音への曝露を減らして難聴を軽減する
- うつ病を効果的に治療する
- 接触スポーツや自転車に乗る際はヘルメットや頭部保護具の使用を奨励する
- スポーツや運動に参加する人は認知症を発症する可能性が低いため、運動を奨励する
- 教育、価格統制、公共の場での喫煙防止を通じて喫煙を減らし、禁煙アドバイスを利用できるようにする
- 高血圧を予防または軽減し、40歳から収縮期血圧を130 mmHg以下に維持する
- 中年期から高LDLコレステロールを検出し治療する
- 健康的な体重を維持し、肥満をできるだけ早く治療することは糖尿病の予防にも役立つ
- 価格統制と過剰摂取のレベルとリスクに対する意識向上を通じて、アルコールの過剰摂取を減らす
- 高齢者に優しく支援的なコミュニティ環境と住宅を優先し、活動への参加や他者との共同生活を促進することで社会的孤立を軽減する
- 視力低下の検査と治療をすべての人が受けられるようにする
- 大気汚染への曝露を減らす
ここには入りませんでしたが、睡眠も重要です。
高齢者のためのGood Sleepガイドはこちら。
食事も地中海食などが話題ですが、エビデンスが乏しい状態です。
高純度EPA製剤の製剤化についてはこちら。
コメント