神経生理学によるパーキンソン病へのアプローチ

「神経生理学によるパーキンソン病へのアプローチ」がロイヤルパークホテルで開催されました。

東京慈恵会医科大学葛飾医療センター神経内科の余郷麻希子先生と江戸川病院神経内科山谷洋子先生から、istradefyllineの使用経験について報告されました。wearing offの短縮が効能として言われていますが、うつや心気症などnon-motorの症候の改善があるようです。

ratでの実験はこちら

帝京大学ちば総合医療センター神経内科の栗田正先生からは、パーキンソン病の幻視のメカニズムが解説されました。

パーキンソン病の幻視の特徴は、

  • リアルな幻視
  • LSDのような、閃光や抽象的な形ではない
  • 幻聴はほとんどない

16年以上経過すると、88%に幻視。こちら

抗パーキンソン病薬の副作用が幻視と思っていましたが、L-DOPAがない頃から幻視は報告されていて、最近の疫学調査では抗パーキンソン病薬と幻視は無関係、元々幻視が出やすい病態を後押ししているだけだそうで。

幻視:錯視(木が人に見えるなど)

パーキンソン病における幻覚の種類についてのBrainの論文はこちら

背側皮質視覚路は空間認識(where経路)、腹側皮質視覚路は色や形(what経路)。Top-Down mechanismとBottom-Up mechanismについてはこんな論文が。人の顔の認識にはfusiform gyrus。こちら。Top-Down mechanismでは、不完全な情報を補完する。
Cerebral Cortexの論文はこちら。Brainの論文はこちら

reality monitoringの論文はこちら。内側前頭前野の機能が低下すると、「いるはずのない人がいる」ように見えてもそれが現実ではないと認識するreality monitoring機能が低下。

全盲患者に認められるCharles Bonnet syndromeはパーキンソン病の幻視に類似。こちら。栗田先生のパーキンソン病・レヴィ小体型認知症における視覚情報処理の論文はこちら。パーキンソン病の幻視についての論文はこちら。パーキンソン病の幻視に関するFDG PETの論文はこちら。後頭葉の代謝低下と前頭前野の代謝亢進を認め、Top-Down mechanismの過剰興奮を示唆。幻視中のSPECTはこちら。幻視中のfMRIはこちら

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