第53回日本神経学会学術大会最終日
今日はジスキネジアを有するパーキンソン病でのアデノシンA2A受容体について口演でした。
詳細はこちらで。アデノシン受容体の総説はこちら。朝一番のセッション。プレゼンデータは昨日提出していましたので、時間ちょうどでいいかなあと思っておりましたが、最近は人身事故などがあるので、もうちょっと余裕持った出発がよかった。名古屋大学渡辺宏久先生からはMRIのmorphometryを用いたパーキンソン病の幻視の研究。パーキンソン病の幻視のメカニズムには諸説ありますが、この研究では一次視覚野・背側皮質視覚路・腹側皮質視覚路・前頭前野などの萎縮が明らかに。和歌山県立医科大学の三輪英人先生からは、T型カルシウムチャンネルブロッカーの振戦への効果について。zonisamideなどが有効とか。兵庫医療大学の野崎園子先生は、メトロノームを使った嚥下訓練。ゆっくりとした6拍子のシンプルな音でタイミングを計る。横浜神経内科・内科クリニックの山田人志先生からは、STN-DBSの調節について。機能の維持にはプログラミングの適切な調節が必要と。
ポスターは今日も大混雑。新潟県立新発田病院の牧野邦比古先生は、阿賀北脳卒中地域連携パスのIT化が在院日数にもたらす影響について。平均在院日数はやや延長と。IT化が必ずしも効率化につながらないということですが、軌道に乗っていた連携だとすると、仕組みの変化が効率化につながらないこともありえるかもしれません。IT化は、大量のデータ解析には有効です。印旛脳卒中地域連携パスの在院日数の短縮については、投稿中です。亀田メディカルセンターの福武敏夫先生は、catalepsyを呈する限局性脳病変。左右頭頂葉と左前頭葉が重要と。脳卒中では多くが急性期に認められるのみで、ADLには影響がない症状のようです。乙今日慈恵会医科大学の川崎敬一先生は、SPM8のDARTEL toolsを用いたMRIの灰白質密度の解析。AD・DLB・FTLDで特徴的な低下があったと。
ランチョンセミナーは、多発性硬化症のfingolimodの講演が、東北大学中島一郎先生からありました。多発性硬化症と視神経脊髄炎(neuromyelitis optica; NMO)の鑑別が重要です。MacDonaldの診断基準はこちら。ツクツクボウシタケから抽出されたISP-1に免疫抑制作用があることから開発されたfingolimod。FREEDOMS試験はこちら。TRANSFORMS試験はこちら。初回投与時の徐脈性不整脈と、3〜4ヶ月後の黄斑浮腫のチェックが必要。
リハビリテーション花の舎病院に異動された近藤智義先生から、日本語版MDS-UPDRSの解説がありました。2008年シカゴで開催されたThe 12th International Congress of Parkinson's Disease and Movement DisordersでMDS-UPDRSが披露されてからずいぶん経ちました。旧バージョンより、non-motorの項目が増えました。
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