第1回 Frontier in Acute Stroke Treatment‒ FAST Conference ‒
霞山会館で第1回 Frontier in Acute Stroke Treatment‒ FAST Conference ‒が開催されました。
closeの会でしたので、詳細をリポートすることは控えさせていただきます。以下、私見です。中には根拠のない妄想を含みますので、ご注意ください。一部は他の先生の受け売りです...
これらは、都会の大学病院の多くは実施不可能。病院が少ない地方の、中核病院の多くはすでに実現できている項目がいくつかあるでしょう。脳卒中急性期は「軽快さ」が必要です。
これからの脳卒中研究は、薬物療法から診療体制にシフトしました。
脳梗塞急性期の血栓除去療法の普及が期待されますが、これを実施する血管内治療医がどの病院にもいるわけではありません。いるとしても、24時間365日実施可能な医療機関は限られます。tPA静注療法ですら地域差がある状況、脳卒中診療はますます地域差・施設差が進む...
医療の平等という幻想が...
しかし脳卒中は言わばドル箱。異なる経営基盤の病院同士が話し合って、上記役割分担ができるか... 病院が少ない地方は可能でしょうし、すでにこの役割分担が実現しているところもあります。例えば東京区部は患者の取り合い。
役割分担を実現するには、知事や厚生労働省の指導力が必要でしょう。
そのためにも、脳卒中対策基本法は必要です。つまり、診療体制を構築しない自治体は法律違反。予算が付きます。インフラの構築、医療連携と役割分担、学校教育への参入などなど。
医師不足の地域では、医師以外のメディカルスタッフの力が重要です。診断と治療法の決定には医師が必要でしょう。しかし血管内治療が必要な例は極一部。脳卒中患者の治療、共通点が多くあります。看護師による口腔ケアやベッドアップなど誤嚥予防、リハビリテーションスタッフ、放射線技師、薬剤師、栄養士、医療連携室など事務系、全例が関与します。退院後はケアマネージャーや介護スタッフ。地域の「脳卒中治療チーム」が機能すれば、医師不足の地域でも、一流の脳卒中診療を提供できる可能性があります。
っていうか、急性期リハビリテーションがロクにできない大病院は、脳卒中診療に不向きです!
closeの会でしたので、詳細をリポートすることは控えさせていただきます。以下、私見です。中には根拠のない妄想を含みますので、ご注意ください。一部は他の先生の受け売りです...
時間との勝負
tPA静注療法は発症4.5時間以内、血管内治療は8時間以内に実施可能ですが、一連のevidenceが明らかにしたのは、早ければ早いほどよい、ということです(当たり前ですが)。今全世界で競争しているのは、以下に早く治療するための診療体制を構築するか。そのために、様々な工夫がなされています。- 啓発活動(市民が早く救急要請をする)
- 救急隊による病院前脳卒中スケール(救急隊が迅速に脳卒中専門病院に搬送)
- 病院内の効率化
- mobile stroke unit
- telemedicineや電子カルテの共有
- drip ship retrieveなど急性期病院同士の医療連携
- 採血・画像診断などによる適応判断の効率化
- 24時間365日のスタッフ確保
これらは、都会の大学病院の多くは実施不可能。病院が少ない地方の、中核病院の多くはすでに実現できている項目がいくつかあるでしょう。脳卒中急性期は「軽快さ」が必要です。
これからの脳卒中研究は、薬物療法から診療体制にシフトしました。
Nashville Hopeはパンドラの箱を開けた?
2013年のHonolulu Shockを打ち砕くべく、2015年のNashville Hopeなど血管内治療のevidenceがいくつも発表され、にわかに活気付いています。脳梗塞急性期の血栓除去療法の普及が期待されますが、これを実施する血管内治療医がどの病院にもいるわけではありません。いるとしても、24時間365日実施可能な医療機関は限られます。tPA静注療法ですら地域差がある状況、脳卒中診療はますます地域差・施設差が進む...
医療の平等という幻想が...
日本の脳卒中診療体制をどうすればよいのか?
各医療圏に、comprehensive stroke centerが一つ以上あり、複数のprimary stroke centerを設置。primary stroke centerはtPA静注療法や、比較的軽症の脳卒中を担う。comprehensive stroke centerはprimary stroke centerで実施困難な血管内治療や手術を実施するほか、primary stroke centerの受け入れ困難状況をサポートする。米国型の脳卒中診療体制は理想でしょう。しかし脳卒中は言わばドル箱。異なる経営基盤の病院同士が話し合って、上記役割分担ができるか... 病院が少ない地方は可能でしょうし、すでにこの役割分担が実現しているところもあります。例えば東京区部は患者の取り合い。
役割分担を実現するには、知事や厚生労働省の指導力が必要でしょう。
そのためにも、脳卒中対策基本法は必要です。つまり、診療体制を構築しない自治体は法律違反。予算が付きます。インフラの構築、医療連携と役割分担、学校教育への参入などなど。
医師不足の地域では、医師以外のメディカルスタッフの力が重要です。診断と治療法の決定には医師が必要でしょう。しかし血管内治療が必要な例は極一部。脳卒中患者の治療、共通点が多くあります。看護師による口腔ケアやベッドアップなど誤嚥予防、リハビリテーションスタッフ、放射線技師、薬剤師、栄養士、医療連携室など事務系、全例が関与します。退院後はケアマネージャーや介護スタッフ。地域の「脳卒中治療チーム」が機能すれば、医師不足の地域でも、一流の脳卒中診療を提供できる可能性があります。
っていうか、急性期リハビリテーションがロクにできない大病院は、脳卒中診療に不向きです!
stroke centerの認証は?
脳卒中診療を担う病院は、各自治体が把握しています。が、多くは手あげ方式。本当は施設の認証が必要でしょう。以下、認証に必要と私が勝手に考えている項目(妄想)。- スタッフ数とそれぞれのスキル
- 脳卒中専門医
- 脳外科医
- 血管内治療医
- 当直医
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語療法士
- SCU・病棟看護師
- 摂食・嚥下障害看護師
- 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師
- 常駐薬剤師
- medical social worker
- 管理栄養士
- 放射線技師
- 時間
- 救急隊からの要請から受け入れOKするまでの時間
- door-to-needle
- door-to-CT/MRI
- door-to-puncture
- 採血検査
- 急性期リハビリの単位数
- 在院日数
- 施設
- SCUの空きベッド数
- 画像診断装置
- IVR室
- 血液生化学的検査機器
- ベッド
- 病室
- 理学療法室
- 作業療法室
- 言語療法室
- 医療連携室・患者支援センター
- 体制
- 脳卒中地域連携パス使用率
- drip ship retrieveやtelemedicineなど病病連携
- クリニックや在宅医療との連携
- 市民公開講座
- 卒後研修
- 救急隊との連携・勉強会
- 行政との連携
- 臨床研究・論文数
参考文献
- 失語があるとtPA後の予後不良。こちら。
- DWI-FLAIR mismatchはこちら。
- ベルリンのmobile stroke unitのSTEMOはこちら。交通事故で3月からサービス中止中らしい...
- 低体温療法はこちら。
- tPAのmeta-analysisはこちら。
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