第38回秋季日本老年精神医学会大会

日本教育会館において、第38回秋季日本老年精神医学会大会が開催されました。レカネマブなどアルツハイマー病の疾患修飾薬社会実装に向け、より早期に、かつ確実な認知症診断が求められます。ARIAなど副作用対策もあります。日本老年精神医学会は精神科医が中心の学会なので、単なる診断治療だけでなく、その後のケアや意思決定支援、治療対象ではない患者のサポート、終末期も議論になるところが特徴です。今はやりのオンデマンドですと同時開催のセッションもあとで確認できますが、今回は残念ながら現地開催のみでした... パンデミック前はこれが当たり前でしたね。


シンポジウム「治療可能な認知症・早期発見と予防へのアプローチ」において、脳炎・脳症による認知症について講演しました。

単純ヘルペス脳炎診療ガイドライン2017はこちら。少しでも脳炎を疑う場合、単純ヘルペス脳炎の治療を開始することが重要です。

Jolt accentuationの論文はこちら。特異度は低いかもしれませんが、髄膜炎の感度は97.1%。つまり3%くらいjoltもない患者がいると言うことです。そういう例も提示しました。

かつては梅毒は認知症の主因でしたが、ペニシリンの登場で減ってきました。しかし最近徐々に増加、コロナ禍でさらに増加しています。こちら。なので認知症診断に梅毒の採血は必須です。脊髄癆や進行麻痺は晩期の梅毒ですが、早期にも神経梅毒はあります。無症候性の場合もあります。

Creutzfeldt-Jakob病は今は治せないですが、抗体薬の試みも始まり、将来は治療できるのかもしれません。プリオン病のガイドライン・予防のガイドラインはこちらからダウンロード。プリオン病診療ガイドラインは2023年版が出ていました。プリオン病の画像の総説はこちら

COVID-19はいち早く山梨大学が脳炎を報告しました。私たちはFisher症候群・ギラン・バレー症候群の経験はあったのですが、COVIDの脳炎は経験していませんでした。COVID-19感染後の認知機能障害・ブドウ糖代謝の低下・萎縮はこちらこちらこちら。主にデルタ株の頃のデータでオミクロン以降の研究はこれからですが、感染しないことに越したことはない。

自己免疫性脳症はこちらをご覧ください。

多発性硬化症は複数の疾患修飾薬が使用できますが、認知機能悪化予防につながっています、こちら


神経学的所見の取り方実践講座(アップグレードコース)では、画像の読み方実践講座を担当しました。

アミロイドPETイメージング剤の適正使用ガイドライン 改訂第3版が出ました、こちら

fluorbetapir(18F)読影トレーニングはこちら。Macユーザーの方、Apple siliconでは動画・画像ソフトともにうまくいきません... Intel Macをご用意ください。

flutemetamol(18F)読影トレーニングプログラムはこちら。こちらは時間がかかるのと、途中でやめて、途中からまた見る、ということができませんので、時間を確保して取り掛かってください。Apple siliconでも閲覧可能でした。


「認知症診断のための神経所見のとり方」がこの学会に間に合いました! 

パンデミック前に日本老年精神医学会池田学理事長のご提案があり神経所見の特集を老年精神医学雑誌編集委員会で企画、コロナ禍の2年間に連載されたものをまとめたものです。たくさんのエキスパートの先生方に執筆をお願いしました。いずれも素晴らしい内容で、私も大変勉強になりました。この内容をできるだけ忠実に再現した動画もご活用ください。本の「はじめに」の最後にURLがございます。



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