第12回パーキンソン病・運動障害疾患コングレス


ハイアットリージェンシー京都で第12回パーキンソン病・運動障害疾患コングレスが開催されました。第1回から参加していますが、演題出すのは久しぶり。何度も、大雨の避難勧告警報により参加者のスマホが一斉に鳴る中(マナーモードでも音がなる...)、淡々と学会は進むのでした。新幹線が止まり参加できなかった、あるいは到着が遅れた先生方も。



京都大学iPS細胞研究所の髙橋淳先生からは、パーキンソン病の幹細胞治療。パーキンソン病モデルでの研究を経て、いよいよ治験に。

自治医科大学神経内科の村松慎一先生からは、遺伝子治療。AADC欠損症の臨床応用は劇的効果。こちらも工場が完成しいよいよ治療用ベクター配布へ。

名古屋大学脳とこころの研究センターの渡辺宏久先生からはconnectivityの解析。default mode networkが脳のハブとなって脳活動を支えるわけですが、パーキンソン病のような変性疾患ではネットワークの結合に障害が。

京都大学人間健康科学系専攻の澤本伸克先生からは、7テスラMRI。T1・T2強調画像での高解像度。T2*やQSMで視床下核の同定。

福井赤十字病院脳神経外科の戸田弘紀先生からは、パーキンソン病に対する脳深部刺激術。視床下核がターゲットにされることが多かったが、最近は淡蒼球内節も増えてきたと。

東京女子医科大学脳神経外科の平孝臣先生からは、ジストニア・振戦に対する定位的凝固術・集束超音波治療について。手術が安全で正確になったこと、治癒可能な病態があること。

北里大学神経内科の飯塚高浩先生からは、免疫介在の異常運動について。抗NMDA受容体抗体が同定される以前も、ビデオなどきちんと記録しておくことが重要です。

京都大学てんかん・運動異常生理学の池田昭夫先生からは、BAFME、PKCなど。

東京都立神経病院神経小児科の熊田聡子先生からは、ジストニアに対する淡蒼球内節の脳深部刺激術。phasicなジストニアは早期に改善、姿勢異常などtonicなジストニアは時間かけて改善。

国立精神・神経医療研究センター病院脳神経内科の坂本崇先生からは、ジストニアに対するボツリヌス治療と認知行動療法。最近職業性ジストニアが増えてきたと。

筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の林悠先生からは、REM睡眠について。睡眠はまずnon-REM睡眠になり、その後REM睡眠とnon-REM睡眠を繰り返す。Scienceの論文はこちら

国立精神・神経医療研究センター神経研究所の皆川栄子先生からは、変性疾患における睡眠障害。加齢によりREM睡眠は減少、中途覚醒が増加。

慶應大学生理学の岡野栄之先生からはiPS細胞と遺伝子改変霊長類モデルによる病態解明について。創薬に向けて研究がどんどん進んでいます。

この学会の名物、イブニングビデオセッションでは、ジストニア、舞踏病様運動、REM睡眠時行動異常など、ビデオを使ったプレゼンで、症候論・診断が議論されました。

千葉大学神経内科の平野成樹先生からは、タウオパチーについて。この分野は分子生物学・病理学の進歩により、混沌としてきました。症候学だけでは正確に区別できません。しかしパーキンソン病のような効果のある薬物治療があるわけではなく、転倒予防など患者の支援・教育が大事と。

大阪大学臨床遺伝子治療学の武田朱公先生からは、タウ伝播仮説と治療応用について。

東邦大学医療センター佐倉病院神経内科の榊原隆次先生からは、パーキンソン病の便秘・排尿障害について。刺激性便秘薬は耐性があるのでlubiprostoneなど非刺激性が中心と。排便時の姿勢も大事。

名古屋大学病態解析学講座の平山正昭先生からは、パーキンソン病の消化管障害について。腸内細菌叢のプロフィールは人種差・地域差。

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