Academic Conference In Tokyo

 ベルサール神田で開催された、Academic Conference In Tokyoに参加しました(ちょっと遅刻)。
 東京厚生年金病院精神科大坪天平先生からは、うつにおけるドパミン系の関与について講演がありました。うつの治療薬の主流は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor, SSRI)ですが、SSRI-induced apathy syndromeが問題になっています。セロトニン系は亢進しているが、ドパミン系とノルアドレナリン系が低下している状態ではないか、ということでした。抑うつは患者にとって苦痛ですが、apahtyは意欲がないが苦痛がなく、「どうでもいい」というような状態。一方、anhedoniaは無快感症、何かするけど楽しくない状態、ドパミン系は低下しているが、ノルアドレナリン系とセロトニン系は亢進していると。
 日本医科大学第二内科永山寛先生から、パーキンソン病における気分障害についてお話がありました。大うつ病の合併は健常者と同程度。 一方anhedoniaは17%程度に認められ、通常のうつとパーキンソン病の気分障害は同じではない。[11C]RTI-32 PETの研究では、limbic sytemへのドパミン系が障害ありと。パーキンソニズムに先行するうつも知られています。FDOPA PETの研究では、pre-clinical periodは5〜6年程度と推計されています。
 東京医科大学睡眠学講座の井上雄一先生からは、Restless Leg Syndrome(RLS)に関するreviewがありました。安静時に異常感覚を生じるもの、月に2回以上ある人は、RLSが慢性化する可能性があるようです。L-DOPAテストがあるくらいですから、ドパミン系の関与は明らかですが、病態は不明な点が多いです。診断基準と重症度スケールはこちらを。ドパミンアゴニストとL-DOPAが有効ですが、3ヶ月程度使用していると、augmentationが問題になってくるそうです。その場合に、gabapentineが効果的とか。
 順天堂大学水野美邦先生からは、パーキンソン病の治療薬の選択について、実際のビデオを供覧しながら拝聴しました。ビデオとUPDRSは全例外来で取られているのでしょうか、お忙しい中の詳細な記録には恐れ入ります。wearing offでは、エンタカポンやセレギニンの追加の他、L-DOPAを食前に飲む方法、アーテン2mg分1程度少量加える方法、ジスキネジアにはL-DOPAの1回量を減らし頻回投与、アマンタジンの追加、エンタカポンやセレギニンの中止など。勉強になりました。

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