第15回医療安全管理講習会

 日本医科大学看護専門学校で開催された、第15回医療安全管理講習会に参加しました。慶応義塾大学前田正一先生より、「医療と倫理・法 インフォームドコンセント」と題して、インフォームドコンセントの意義、注意点、説明の範囲などを講義いただきました。
 通常医療のインフォームドコンセントと、医学研究のインフォームドコンセントは歴史が違う、ということでした。前者は、1914年のカードーゾ事件で、患者の同意の元に手術を行うべきという判例がでて、1957年のサルゴ事件で初めて「informed consent」という言葉が使用されたということです。一方、後者の歴史は、ナチスや日本軍731部隊の人体実験をふまえ、ニュルンベルク裁判とヘルシンキ宣言を経て確立されたものです。前者は患者の任意性が求められ、後者は被験者の自主性が求められるなどの違いがあります。前者は、軽微な医療行為(血圧測定や聴診など)ではインフォームドコンセントは不要ですが、後者では必要です。
 インフォームドコンセントには、患者/被験者の「理解」が必要ですが、これを判断するのは困難、「説明における合理的な努力」をもって「理解」とするそうです。例に出された東大病院では、「生命保険の約款や六法全書ではなく、少年ジャンプを目指せ」というポリシーで説明文書を作成せよ、としているそうです。つまり、同じ厚い書物でも、少年ジャンプなら子供でも読む、ということです。私も患者さんのリクエストがあったので、パーキンソン病のPETを解説するPDFを作ったのですが、まだまだ少年ジャンプより六法全書の方が近いかもしれません...

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