エパデールS発売10周年記念講演会

 パレスホテル大宮で開催された、エパデールS発売10周年記念講演会に行きました。
 徳島大学佐田正隆先生は、JELISで証明されたEPAの作用機序について解説がありました。細胞膜を構成するアラキドン酸(AA)がイコサペント酸(EPA)に替わることにより、血小板凝集や炎症作用が減弱します。単に脂質異常の改善だけではないようです。心筋梗塞は、動脈硬化により徐々に狭窄が進行することは少なく、ほとんどは脂質沈着に富んだプラークが破綻して閉塞し起こるのだそうです。そのプラークには新生血管ができて、プラークに栄養や細胞を送り、プラークが大きくなっていく。この新生血管をEPAは減らします。EPA/AAは欧米では0.1くらい、魚食の日本人は0.5くらい。これをエパデール内服で1以上にし、JELISの結果になるわけです。
 小倉記念病院横井宏佳先生は、インターベンション医の立場から、EPAの効果が説明されました。薬剤溶出性ステント(DES)が再狭窄を減少させましたが心臓死は減らさないことは以前書きました。LDLが100mg/dl以下にコントロールされていても、心筋梗塞が再発することは少なくないのですが、多くは再狭窄ではなく、新規病変が起こってしまう。コレステロールとは独立したリスクとして、低EPAがある。ECAS前に1ヶ月statinとEPAを投与しプラークを安定化、その後CASを実施すると、広げたときに微小血栓が末梢に飛ぶのを防げるらしいです。
 岡山大学伊藤浩先生は、AAとEPAの違い、インスリン抵抗性、EPAは魚の体内で作られるのではなく、植物性プランクトンを食して体内に蓄積していることなど、お話がありました。
 パネルディスカッションで、心血管イベントの予防におけるEPAの役割について議論されました。

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