第54回日本核医学会学術総会 第2〜3日目

2日目の朝はDaTSCANのシンポジウムから。
京都大学福山秀直先生からは、欧米も含めた保険収載までの経緯がプレゼンされました。福井大学岡沢秀彦先生からは、イオフルパン診療ガイドラインについて。123I-β-CIT SPECTが、静注翌日にスキャンだったのが、123I-FP-CITは3〜6時間でスキャン。半定量的な方法として、Tossici-Bolt法。こちら。Scans without evidence of dopaminergic deficit(SWEDDs)も注目と。順天堂大学服部信孝先生からは、神経内科医からのDaTSCANの期待。といいつつも、最初のスライドは、「エキスパートに、DaTSCANは必要なのか...」と核医学学会では刺激的なサブタイトル... しかしながら、SWEDDsやCBS、本態性振戦からパーキンソン病への移行、薬剤性パーキンソニズムとの鑑別など、有用と。PSPでは尾状核頭部での集積低下。あ、私の論文の図を使っていただきました(上図)。東京医科大学羽生春夫先生からは、レヴィ小体型認知症でのDaTSCAN。MIBG心筋シンチと同程度の診断精度だったと。国立精神・神経医療研究センターの松田博史先生からは、123I-FP-CIT SPECTの画像解析について。SPECTはPETと比べると分解能が悪い。PETで通常行われてきたROI設置は部分容積効果が。Tossici-Bolt法は、大きなROIを使って特異集積と非特異集積を自動的に算出し、specific binding ratio(SBR)を算出。部分容積効果の影響を受けにくい。しかし、シルビウス裂や拡大した脳室などCSF成分が入ってしまうと、異常な低値を算出することがある。また、線条体体積を11.2ccに固定していることが誤差原因に。解剖学的標準化を行って標準脳上の定型VOIを用いてSBRを算出するのがQSPECT法。

以下私見。
Tossici-Bolt法は論文もあることで研究には使いやすいと思います。しかし、上記の通り、数値にエラーがでることがある。この数値はあくまで参考値で画像を見るべきですが、核医学を専門としない先生方は、この数値を参考に判断するはず。上図PETくらいの解像度なら画像診断は容易ですが、SPECT装置によっては分解能がかなり劣り、読影は難しい場合あり。日本独自の手法でもいいと思います、ぜひ、安定した数値が出せる手法を... その手法が確立するまでは、皆さん、画像をちゃんと見ましょう!

というのは、VSRADにしても3D-SSPにしても、「Not for diagnosis」なのに、ソフトウエアが出す結果を鵜呑みにされる先生が少なくないから。VSRADで海馬の萎縮がないからアルツハイマー病じゃない(MMSE 10以下)、MIBGで集積低下がないからパーキンソン病じゃない(でもCFT PETでDAT低下、経過観察でも投薬効果もパーキンソン病)、と診断されている患者さんが散見されてます。神経学会地方会でも、SPECTは統計画像しか出てこない。統計画像が算出される過程をごぞんじでしょうか?ま、かつてよりは精度よくなりましたが。元の画像を見せてくださいよ。

で、緊急報告として「単体ソフトウエアと法規制」のセッション。薬事法で規制されることに。でも必然ですよ、上記の通りの現状ですから。政策としては、単に規制するだけでなく、ヘルスソフトをall Japanでビジネス化することまで。高額な予算も。特に核医学は、プロブラミングが得意な先生方多いです。

午後はポスターの座長をさせていただきました。ドパミントランスポータのセッション。台湾の先生もご参加。来年はもっと盛り上がる分野です。



東京都健康長寿医療センターの先輩方と、道頓堀でした。

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