Post Stroke Forum in Tokyo

 京王プラザホテルで開催された、Post Stroke Forum in Tokyoに参加しました。夏休み期間中は研究会がなかったですが、来週から目白押しです。
 東京大学老年病科の秋下雅弘先生からは、高齢者での薬物療法の注意点がレクチャーされました。疾患が増えることによる多剤併用と、加齢による薬物動態変化による過量投与が問題です。慢性期には減量を考慮することも必要とのことでした。高齢者での慎重投与薬剤のリストはこちら
 日本医科大学千葉北総病院リハビリテーション科の原行弘先生からは、回復期での深部静脈血栓症に関するお話がありました。急性期や手術後では深部静脈血栓対策が進んでいますが、リハビリテーションの時期も多いそうです。特にヒラメ静脈に生じやすく、軽傷が原因になるとのこと(2例報告はこちら)。ヒラメ静脈は網目状で、静脈弁が不完全、筋ポンプも乏しいそうです。スクリーニングにはDダイマー0.5以上。原先生の論文はこちら。シンガポールのDVTのデータはこちら
 順天堂大学脳神経内科の卜部貴夫先生からは、脳保護療法のお話がありました。neuronだけでなく、gliaも守るべき。Cilostazolの実験結果はこちら。また、孤束核のサブスタンスP減少が誤嚥に関与していますが、ACE・amantadineに加え、cilostazolもサブスタンスPを増加させ、誤嚥性肺炎を予防するということです。
 順天堂大学精神医学教室の新井平伊先生からは、認知症とうつの講演がありました。アルツハイマー病の初期にうつがでる、あるいは鬱病が仮面認知症を呈することがありますが、うつからアルツハイマー病に移行する場合もあるということです。うつが緩解しても、 Wisconsin Card Sorting Testなど認知機能検査の低下が持続するそうです。抗コリン剤の認知機能低下はよく知られていますが、抗うつ剤の抗コリン作用が認知障害を起こしている可能性もあるとのこと。酒もうつや認知障害の原因になるそうで、断酒が認知機能改善に役立った例も提示されました。ワインのポリフェノールがアルツハイマー病に良いという話もありましたが、アルコールによる健忘症候群も要注意です。それから、うつでparoxetin無効例にcilostazolを加えたら有効だった例があったそうですアルツハイマー病でdonepezilとcilostazolを併用したら有効だった例も提示されましたラットの実験はこちらCREBをAβが低下させるとのこと、CREBのリン酸化を促進するcilostazolが有効なんですね。

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