第13回Neurology SPECT定量研究会

 八重洲富士屋ホテルで開催された、第13回Neurology SPECT定量研究会に参加しました。
 シンポジウムのテーマは認知症の医療連携について。認知症認定看護師の芳賀赤十字病院斉藤さんと、先月訪問した日本医科大学街ぐるみ認知症相談センターの石井さんからプレゼンテーションがありました。脳卒中地域連携パスが注目されていますが、認知症の連携も必要です。専門医とかかりつけ医の連携もありますが、医療者と介護スタッフとの連携も大事です。脳卒中と違い緊急性がないことが多いでしょうから、講習会などで地域で集まり、知識と情報を共有するのがいいのではないでしょうか。
 国立循環器病センターの飯田先生からは、QSPECTについてご講演がありました。Quality controlと検査の標準化により、機種に依存せずSPECTも安定したデータ収集ができるようです。ドパミン系のSPECT画像は線条体が「丸い」画像が多いのですが、飯田先生の提示されたものは、「線条体」でした。日本医科大学千葉北総病院のSPECTはPRISM-IRIX、クリスタルが厚いため、QSPECTが適応できず... [I-123]IMP SPECTの無採血法もあるそうですが、現在はばらつきが20〜30%あり、絶対値をどこまで妥協できるかというところ、現状では、飯田先生の開発された1点採血法がよさそうです。
 旭神経内科リハビリテーション病院の篠遠先生からは、アミロイドイメージングを中心に、認知症の分子イメージングの講演がありました。現在はPIBが主流ですが、深部白質にも集積があります。最近、非特異結合が少ないリガンドも開発されているようです。健常者でアミロイドの蓄積が見つかることもあり、最近は脳ドックに期待されているようですが、PIB陽性の方が、生きている間に必ずアルツハイマー病になるわけではありません。高齢健常者のPIB陽性例もそれなりの割合で確認されています。しかし、健常のPIB陽性例が、脳のハブと言われている楔前部のdeactivationが認められないというfMRIの研究が紹介されました。Neuronの論文はこちら。ということは、やっぱりアルツハイマー病根本治療の対象にすべき?
 特別講演では、J-ADNIの中心の東京大学岩坪先生から、アルツハイマー病根本治療とADNIの進捗状況について講演がありました。γセクレターゼ阻害薬やワクチン療法がありますが、症状が出る前に実施できるのが理想です。そこでアミロイドイメージングなど脳画像が注目を浴びているわけです。J-ADNIでは、精度が高い大量のデータが収集されますので、研究成果を期待しましょう。

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