脳卒中ノート: Tokyo Stroke Summit

脳卒中ノート: Tokyo Stroke Summit:


ホテルメトロポリタンエドモントで開催された、Tokyo Stroke Summitに出席しました。直接トロンビン阻害剤ダビガトラン dabigatran(プラザキサ)がいよいよ3月14日市販だそうで。ワルファリン誕生から半世紀ぶりの経口抗凝固薬です。ワルファリンの歴史はこちらに書いてありました。治療域が広いので容量調節不要です。ただし腎排泄のため、腎不全では投与量を減らします。P糖蛋白を阻害する、イトラコナゾール・ベラパミル・アミオダロン・キニジン・シクロスポリンとの併用は、ダビガトランの血中濃度を増加させます。

東京女子医科大学内山真一郎先生からは、ワルファリン、ダビガトラン、Xa因子阻害剤のエビデンスが紹介されました。ワルファリンのmeta analysisはこちら。非弁膜症性心房細動に対する脳卒中予防にアスピリンは無効としたJapan Atrial Fibrillation Stroke Triaは、こちらPT-INRは2〜3。T2*でmicro bleedsがあるとワルファリン使用で出血が増えるという論文はこちら。Japan Thrombosis Registry for Atrial Fibrillation, Coronary, or Cerebrovascular Events(J-TRACE)の結果はこちら。ワルファリンは、導入直後は不安定で出血合併症も多いとか。CHA2DS2VASc scoreはこちらに載っていました。ESC guidline 2010はこちら。HAS-BLEDはこちら。RELYはこちらこちらこちら。xa因子阻害剤のROCKET-AF・J-ROCKET-AFはこちらこちらを。ワルファリンのようにビタミンKで中和できないので、ダビガトラン効き過ぎにはFFP・第IX因子複合体・遺伝子組換え第VII因子・血漿交換・透析。効果判定にはPTやTTは感度が悪い。APTTはまあまあ。ecarin clotting time(ECT)がよいようですが、日本では普及していません。
 パネルディスカッションでは、東京大学江頭正人先生と日本医科大学桂研一郎先生が加わり、CHASDS2 scoreの1以下でも抗凝固療法の要否などが議論されました。ワルファリンは抗血小板剤と比べると出血リスクが高いのが問題でしたが、ダビガトランでは出血リスクがワルファリンより低いので、低リスクでも使用しても良いかも。

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