第54回日本神経学会学術大会 第二日目

第54回日本神経学会学術大会2日目です。

朝はアルツハイマー病の画像と髄液の口演を聞きました。

シンポジウムは免疫性神経疾患のセッション。
 福井県立大学米田誠先生からは自己免疫性脳炎について。近年明らかになってきた神経細胞の膜表面や細胞外抗原に対する自己免疫性脳炎が見いだされてきました。これらは、ステロイド投与で劇的に改善する場合も多い。Dalmauらの抗NMDA受容体抗体関連脳炎の論文はこちら。橋本脳症では抗甲状腺抗体・抗N末端αエノラーゼ抗体(抗NAE抗体)が陽性に。脳波の徐波化も特徴。小脳失調で、眼振がなく、脳波徐波化、しかしMRIで小脳萎縮に乏しい場合は橋本脳症を念頭に置くべきと。
 北里大学飯塚高浩先生からは抗グリシン受容体抗体関連疾患。progressive encephalomyelitis with rigidity and myoclonus(PERM)とStiff-person syndrome(SPS)の関連が論じられ、しかし、抗GAD抗体が無い例も報告され、抗グリシン受容体抗体に矛先が。胸腺種合併が少なくない。NeurologyのReviewはこちら
 鹿児島大学の渡邊修先生からはIsaacs症候群。VGKC複合体抗体です。IraniらのMorvan症候群の論文はこちら。抗CASPR2抗体が関連。
 国立病院機構長崎川棚医療センター中根俊成先生からは、自己免疫性自律神経障害。抗ganglionicアセチルコリン受容体(gAChR)抗体が関与。

ランチョンはFabry病とPompe病のお話。
 信州大学関島良樹先生からFabry病。若年性の脳卒中にすくなからず隠れています。Strokeの論文はこちらこちら。Fabry病の男性6.9%、女性4.3%に脳卒中。Lancetの論文はこちら。腎臓については内海甲一先生の論文がこちらなど多数。Lancetの総説はこちら。MRIで視床枕にT1高信号。皮膚の被角血管腫。酵素補充療法はこちら
 国立精神・神経医療研究センター神経研究所西野一三先生からはポンペ病について。乳児型は劇的に悪化し1歳代で死亡する疾患でしたが、酵素補充療法の登場で、予後が劇的に改善しました。成人型は脱力が軽い割には呼吸障害がくる時には念頭に。筋病理で酸フォスファターゼ陽性、ライソゾームの活性があがっている。HM染色ではほとんど空砲形成がなかった例も提示いただきました。乾燥ろ紙での血液献体は国立生育医療研究センターの奥山先生に送る。New England Journal of Medicineの論文はこちら

 ポスターでは、放射線医学研究所の嶋田斉先生のLBDの演題がありました。すでに論文になっています

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