Stroke Care Seminar

ホテル椿山荘東京でStroke Care Seminarが開催されました。

棚瀬法律事務所の棚瀬慎治先生から、医療訴訟に関する講演がありました。医療事故直後の対応、裁判までの過程がわかりやすく解説されました。日本の脳卒中の分野では、アルテプラーゼに関して添付文書とガイドラインの齟齬があるわけですが、各施設が実情に応じたプトロコルを事前に作成しておけば、違法と評価されるリスクが軽減されるそうです。日本医科大学付属病院では、2012年11月に高度救命救急センター・脳神経外科・神経内科の各部長間で事前に協議がなされ、適正使用指針第二版に沿って実施することが決まっています。

そのrecombinant tissue-type plasminogen activator(rt-PA、アルテプラーゼ)静注療法指針改訂部会で部会長であった国立循環器病研究センターの峰松一夫先生からは、「脳梗塞血行再開療法の進歩と葛藤」というタイトルで講演がありました。
 1993年、発症6時間以内の超急性期脳塞栓症に対するduteplaseを用いたrt-PA静注療法の有効性が世界に先駆けて日本から発表されましたが(こちらも)、特許権問題で開発が頓挫。1995年にNational Institute of Neurological Disorder and Stroke(NINDS)rt-PA Stroke Studyによって,発症3時間以内の虚血性脳血管障害に対するアルテプラーゼ静注法の有効性が示され、その翌年米国食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)が世界初の脳卒中特効薬として異例のスピード対応で承認しました。つい世界40カ国以上で承認され、臨床使用されました。一時は先進国で日本と北朝鮮だけがアルテプラーゼを使用できない状況でしたが、日本もJapan Alteplase Clinical Trial(J-ACT)を経て、2005年に厚生労働省に認可されたのでした。
 当初発症3時間以内、今は4.5時間以内に投与しなければなりません。そのためには迅速な搬送が必要で、市民公開講座の限界から、脳卒中対策基本法の制定が待たれます。しかし、自民党政権が民主党に変わり、首相がコロコロ変わり、東日本大震災があり、また自民党政権に、と、法制化がなかなか実現しません。
 院内の診療体制の効率化もお話しされました。

 情報交換会でも、突っ込んだ議論ができました。

コメント

このブログの人気の投稿

認知症診療セミナー