第4回日本認知症予防学会学術集会 最終日

第4回日本認知症予防学会学術集会も最終日。会場のタワーホール船堀には展望室があります。なかなかの景観。東京スカイツリーに勝る点は、スカイツリーが見えるところ。



認知症ケアのプロフェッショナリズムというシンポジウム。
 まず法政大学法学部山本卓先生からは、認知症に関わる制度とケア学について。予防というと、例えばアルツハイマー病にならないようにすることがそうですが、認知症のように進行する疾患においては、それに加え、症状の改善・維持も予防と。そして、介護が提供するプランの多くは、予防をめざしたもの。効果があるうちはプログラムは継続されるが、進行すると、離脱を余儀なくされ、時には施設も変更となる。患者・家族は、認知症が進行したことを突きつけられ、認知症と診断された時のような葛藤に見舞われる。介護保険は、要支援I・II、要介護I〜Vなどとステージングされるが、ステージが上がっていくことも同様。予防のプログラムだけを提供すると、うまく行かない症例では落胆と葛藤。予防のことだけではなく、進行することも見据えてケアプランを立てるべきと。ご質問したところ、このギクシャクをシームレスにするのが、ケアパスと街づくり。脳卒中地域連携パスにも通じるお話でした。
 Gustav Strandellさんは舞浜倶楽部社長。ご出身のスウェーデンでは400年前には支え合う文化があった。しかし、他国の医療が導入されると、地域社会から隔離した老人ホームで8人部屋で寝たきり、おむつ、褥創、大量の薬... しかし何人かのgeniusにより1980年頃より変化が起こり、地域密着型・複合型の施設や在宅介護が普及しました。施設に入った認知症患者のほとんどは1〜2年で他界すると。介護施設で急変すると3次救急病院に搬送する日本とは文化や哲学・死生観が違うようです。そして、税金。高い税率ですが、スウェーデンは借金をしない財政と。日本は、例えば介護保険の制度も何度か修正がありましたが、制度が不安定とも言える。
 介護老人保健施設星のしずくの高口光子さんは、「お金をもらえる介護」とは。全くの赤の他人が、食事・排泄・入浴を通じて人間としての関係性を構築する。認知症患者は進行すると訴えることができなくなる。介護職は経験により訴えを認識して対応する。介護スタッフも時に疲弊する。その時は、ベテランがスタッフの訴えを聞き、状況を共有・共感。シームレスな介護の継続には、地域で支える仕組みと関係性の継続と。

午後は市民公開講座。基調講演は神戸大学精神科神経科の山本泰司先生。
以前推計されていた認知症患者数は2014年250万人程度。しかし2012年の悉皆調査では、認知症が457万人、MCIが200万人。アルツハイマー病を中心にわかりやすく解説されました。

パネルディスカッションでは、北村伸先生からは認知症街ぐるみ相談センター、大牟田市認知症ライフサポート研究会の大谷るみ子さんからはほのぼの会や徘徊シュミレーションなど大牟田市の試み、東京都健康長寿医療センター研究所の宇良千秋先生からは、世田谷区の認知症プログラム、文字位置照合平行検査などのご研究、認知症の人と家族の会東京都支部の大野教子さんからは、電話相談の解析から認知症に関わる家族構成の変遷が提示されました。

ということで、本学会は大盛会で終了しました。

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