カバサール千葉講演会

 日本医科大学で科研費の説明会があった後、千葉市の京成ホテルミラマーレで開催されたカバサール千葉講演会に出席しました。まず、日本医科大学第一内科の本間博先生より、弁膜症の心ECHOについてのご講演がありました。カバサールなど麦角系ドパミンアドニストの副作用として、弁膜症が問題になっているからです。しかし、本間先生は、一連の麦角系ドパミンアドニストの弁膜症の研究で、弁膜症の診断基準に問題があることを指摘されました。心ECHOでの逆流のみで診断している場合が多く、逆流がsevereという基準でも、臨床上症状もないレベルとか。心ECHOで、弁の肥厚とかドーミング(弁の奇異な動きで腱索などのひきつれ)があれば、弁膜症と診断してもよいかもしれないが、単なる逆流は正常の人でもいると。第二内科永山先生の症例のうち心ECHOで逆流があった60例中1例しか、麦角系ドパミンアドニストによる弁膜症と思える症例がなかったとのことでした。従って、全体から見るとかなり少ないということです。単なる逆流を診断基準にせず、再検討が必要とのことでした。鎌ヶ谷総合病院千葉神経難病医療センターに移られた湯浅龍彦先生も、神経内科医は大げさに騒ぎすぎ、再検討が必要、と懇親会でお話しされていました。
 そのあと、自治医大藤本先生より、パーキンソン病治療の精神症状についてのご講演がありました。パーキンソン病の治療が発達し、患者さんは長生きするようになりましたが、認知障害や気分障害が問題になることが多くなりました。プラミペキソールはドパミンD3受容体を刺激することでうつ症状の改善が期待できますが、一方で、pundingなどメンタル面の副作用もあります。STN-DBSも、精神症状が問題になっています。視床下核の上の方は運動機能ですが、下部に精神系のループがあるからだそうです。DBSはこれを抑制することになり、迷うような事項に迷わなくなったり、感情の抑えが利かなくなったりするようです。淡蒼球内節は精神症状が少ないとされていますが、広範に刺激しなければ効果がなく(場合によっては2本入れる)、電池も早期になくなるため入れ替えも多くなるということで、あまりやらないそうです。また、病的賭博や睡眠発作など副作用について、患者さんが医師にお話しないことも多く、何でも話せるような人間関係を構築することが最も大事とのことです。妄想などのときは抗パーキンソン病薬の減量が原則ですが、テトラミドを夕食後に投与するのがいい場合があると、tipsをご教示いただきました。寝る前では朝起きないそうです。

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