Dr. Michael S. Okun講演会

 コモディオ汐留にある日本メドトロニック(株)エデュケーション&トレーニングセンターで開催された、Dr. Michael S. Okun講演会に参加しました。Okun先生の講演は、神経学会総会ICPD2008に続いて3回目ですが、また新しい情報を得ることができました。
 上記2つの講演に追加する事項として、まずは、術前の認知機能の評価です。Okun先生はdementia rating scaleというスケールをご使用で、130点を基準にされているとのことでした。また、story memoryや、失認・失行もチェックすべきと。STN-DBSでは怒りっぽくなるそうで、術前にmentalのコントロールができない方は、STN-DBSは困難とのこと。ボーダーラインの方では、STNではなくGPiを選択されるそうです。ただ、以前自治医大藤本先生にお聴きした時は、STNの3倍の大きさのGPiを刺激するのは、場合によっては電極を2本入れなければならない、広く刺激するため電池交換が早く来る、など、そう簡単ではないようですが。
 その他のSTN-DBSの適応外として、すくみ足・重度の立ち直り反射障害・warfarinなど抗血小板/抗凝固療法実施中の方・重度の脳萎縮をあげられていました。on-offで、UPDRS-IIIが30%以上改善しないなら、DBSは考えないそうです。それから、5年以内に急に進行する場合、薬剤抵抗性が考えられ、DBSは考慮しないそうです。前日offにして、次の日の朝、offの状態を評価しているそうです。
 比較的若年例で適応を考えるときに、「仕事ができるように」ということは適応基準として考慮すべきではないそうです。DBS後に運動症状が軽減することと、仕事が可能になることは、必ずしも一緒ではないからです。
 刺激装置の調節期間はoff medicationとして、副作用が出ない範囲で電圧をあげ、そのあとパルス幅・周波数を調節。電圧は3.6Vを超えると電池の消費が増大します。副作用が出る場合はmonopolorからbipolarに変更、効果が不十分なら2点のmonopolarに。その後抗パーキンソン病薬を戻して6ヶ月くらいかけて減量、L-DOPAを急激に減量すると、うつや心気症が出やすいそうです。
 終了後の懇親会では、Okun先生とお話しする機会がありました。術前のカンファレンス(特に認知機能)のこと、それから、PETによるDBSの研究にもご興味があるとのことでした。

コメント

このブログの人気の投稿

認知症診療セミナー