うつ・不安障害治療フォーラム

 東京ミッドタウンホールで開催された、うつ・不安障害治療フォーラムに出席しました。
 千葉大学橋本謙二先生からは、フルボキサミンのシグマ1受容体アゴニスト作用に関する講演がありました。シグマ受容体についてはこちらもご参照ください。最近お書きになった総説はこちら
 千葉大学伊豫雅臣先生からは、ベンゾジアゼピン系抗不安薬に関する講演がありました。ふらつき、転倒、過鎮静など急性の副作用もありますが、依存、耐性、離脱症状、反跳現象といった、長期服用での問題点が多い。そのため、例えばNICEでは全般性不安障害で2〜4週以上使用すべきでないと勧告するように、短期間使用して止めることが原則だそうです。特に、超短時間作用型のベンゾジアゼピン系薬剤は依存や反跳現象が起こりやすく、耐性も1週間くらいで出る場合もあるそうです。ロフラゼプ酸エチルなど、長時間型の方がこういった問題が起こりにくいそうです。Cunninghamらの報告でも、長期使用の問題が言及されていますが、現場では相変わらず長期に使い続けている... 特に、内科医など非専門医にその傾向があります。認知行動療法が有効だそうですが、日本の医療行政では軽視されています...
 Ludwig-Mazimilians-UniversityのThomas C. Baghai先生から、ドイツのうつ病の治療と、mirtazapineの臨床効果についての講演がありました。精神障害の有病率は、心血管病変よりも多く、昨年問題になった新型インフルエンザの死亡より、自殺の方が約4倍... 日本はドイツの2倍自殺が多いようですが... 本邦のうつ病治療ガイドラインはこちら
 パネルディスカッションでは、mirtazapineを中心にディスカッションがなされました。SSRIのactivation syndromeが問題になっていますが、mirtazapineは鎮静する方向の抗うつ剤なので、起こりにくいそうです。

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