アデノシン受容体を考える会
協和発酵キリン株式会社横浜支店会議室でアデノシン受容体を考える会が開催されました。
私はアデノシン受容体PETについて講演いたしました。
Plos Oneの私の論文はこちら。
アデノシンA1とA2A受容体の加齢変化の違いに関する論文はこちら。
「神経内科」に掲載のパーキンソン病PET画像の総説はこちら。
Clinical Neuroscience Vol.34 (16年) 11月号のアデノシン受容体PETの総説はこちら。
レボドパの総説はこちら。
MDS-J Lettersの高尿酸血症のcontroversyはこちら。
Jacobson先生のNature Rev Drug Discov のreviewはこちら。
最近出たカフェインのパーキンソン病治療はこちら。
セロトニンターミナルとジスキネジアについてはこちら。
ジスキネジア例で被殻のアデノシンA2A受容体が増加するのは、以下のように考えております。
進行例でドパミンターミナルがなくなっていくと、セロトニンターミナルでドパミンを作るようになります。ドパミンターミナルには、D2オートレセプターやドパミントランスポータがあるので過剰なドパミンの調節機能があります。しかし、セロトニンターミナルにはセロトニンの調節機能はありますが、ドパミンは調節できません。L-DOPA投与で一時的に過剰になって、peak-dose dyskinesiaがでてしまう。これを調節するために、やむなくmedium spiny neuronの樹状突起に存在するアデノシンA2A受容体(ドパミンD2受容体と相反する作用がある)が増加し、その調節を担う。
これはあくまで私の推察であって、科学的に証明できておりません...
ちなみに、ドパミンD2受容体を画像化する11C-raclopride PETでは、健常者より未治療パーキンソン病で被殻での集積増加、治療開始で低下していましたが、これは、racloprideのドパミンD2受容体への親和性(結合力)が小さいためです。体の中から出てくるドパミンとracloprideが競合します。パーキンソン病患者はドパミンが少ないので、健常者より、racloprideがドパミンD2受容体に結合しやすいのです。denervation hypersensitivityよりも、親和性の問題がメインです。治療開始すると、L-dopaが変化したドパミン・ドパミンアゴニストなどとracloprideが競合し結合が減ります。治療してドパミンD2受容体が減っているわけではございません。
アデノシンA1とA2A受容体双方に親和性を持つカフェインを含有した飲み物を飲んだ後、症例検討が始まりました。
日本鋼管病院神経内科の吉井康裕先生からは、同院istradefylline処方実態と効果について。非運動症状にも。escape responseの論文はこちら。側坐核のアデノシンA2A受容体に着目。
聖マリアンナ医科大学の眞木二葉先生からは、若年性パーキンソン病の30年選手でのistradefylline効果あり。「歩の高さ」が増加と。歩行の総説はこちら。
かわさき記念病院の長濱康弘先生からは、Parkinson's disease with dementia / dementia with Lewy bodyでの使用経験。歩行の改善と副作用の少ない事。歩行改善は覚醒の改善に関連かもと。
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