第14回『脳梗塞フォーラム』研究集会

 ヒルトン東京で開催された、第14回『脳梗塞フォーラム』研究集会に出席しました。昨年の模様はこちら
 川崎医科大学の木村和美先生からは、豊富なrt-PA症例を元にしたたくさんの臨床研究が紹介されました。倉敷市の人口は約48万人、すでに160例以上の症例数でした。印旛地区は70万人、1/3です... 15名の内科医と豊富なスタッフで脳卒中センターを運営、これだけの実績もうなずけます。
 まず、画像。DWI-ASPECTで5点未満は予後不良だそうです。しかし、初療時病変がなくても予後不良の方もいらっしゃることも強調されました。clinical-DWI mismatchはこちら。FLAIRの有用性はこちら
 再開通はrt-PA治療では重要です。内頚動脈は開通しにくく、M1・M2は60%くらい開通します(J-ACT IIのけっかはこちら)。しかし、M1にT2*でsusceptibility vessel sign(SVS)があると再開通しにくいそうです。内頚動脈が再開通しなくても、A-COM→MCAで通れば良くなります。再開通しにくい他の要因は、心房細動(血栓が大きく心臓にしばらくあるため古い)BNP高値(心不全で押す力が弱い)だそうです。左右シャントは21%と意外と多く、rt-PAは効果的のようです。
 溶解率を上げるために、継続的なtranscranial Dopplerもご使用です。ただ思ったほど効かないとか。超音波造影剤microbubbleも使う方法もあるようです。さらにinterventionもなさっています。HbA1cではなく血糖が高いと予後不良、micro bleedsが5個以上だと異所性出血が多くなる、といった研究は、まもなくpublishされるそうです。

 岡山大学の阿部康二先生からは、脳梗塞治療の基礎研究を中心にご講演がありました。阿部先生と言えば、最初のedaravoneの基礎研究の論文があります。私の論文(こちらこちら)でも引用させていただております(逆にこちらで引用いただいています)。でも最近は、ALSなど変性疾患の研究も精力的になさっています。基礎研究だけでなく、臨床研究もたくさんございます。
 さて、脳梗塞急性期治療のターゲットはischemic penumbraと言われています。最近のご研究はこちら。ここのapoptosisやautophagyをコントロールできるかが脳保護療法の鍵でしょう。そしてneurovascular unitの保護。t-PAが活性化するmatrix metalloproteinases(MMP-9)が厄介なようです。



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