Salt and Hypertention Forum


 グランドプリンスホテル新高輪で開催された、Salt and Hypertention Forum〜英国より学ぶ日本の減塩〜に参加しました。
 東京大学藤田敏郎先生からは、アルドステロンと食塩、鉱質コルチコイド受容体(MR)についてのreviewがありました。論文はこちら。MRにRAC1が関与するという論文はこちら。Rac1は本来食塩で不活性化するが、食塩感受性高血圧では食塩で活性があがるらしい。Arthur C. Corcoran Memorial Lectureはこちら。腎のアブレーションはこちら。ヒストン修飾はこちら
 Wolfson Institute of Preventive MedicineのGraham A MacGregor先生からは、産学官+マスコミによる減塩キャンペーン、Consensus Action on Salt and Health(CASH)についての講演がありました。塩分制限の論文はこちら。果実・野菜摂取による脳卒中予防についてはこちら。食品メーカーの協力で、徐々に塩分を減らすことで、メニューを変えずに減塩を実現し、3年で9.5g/日から8.6g/日へ減少、年間6,000人の脳卒中や心疾患による死亡を救うことになりました。英国では約1500万ポンドが減塩キャンペーンに費やされましたが、15億円の医療費削減につながったそうです。World Action on Salt and Health(WASH)には藤田先生もご参加とか。日本もまねしたいところ。どうやら、MacGregor先生は厚労省にも呼ばれているらしい...
 岡山大学伊藤浩先生からは、ARB/利尿薬配合剤の役割、特に拡張不全についてのご講演がありました。拡張不全については、先日小室先生のご講演でもでてきました。HFPEFの論文はこちらこちら。HFPEFとHFREFで予後は同じ。後者は心不全死、前者は心血管イベントでの死亡と死因は違うらしい。HFPEFはACE-IやARBは効果がないが、心肥大予防や心房細動の一次予防には効果があると考えられます。
 パネルディスカッションでは、日本医科大学千葉北総病院内科の雪吹周生先生から、地域連携パスを使った大規模臨床研究、INBA studyの中間報告が紹介されました。ABPMをかかりつけ医に貸し出し、データを共有しています。脳卒中地域連携パスでも臨床試験を導入できればよかったですが、雪吹先生たちの心筋梗塞パスは、定期的に急性期病院に戻る循環型のパスなので実現するわけです。九州医療センター𡈽橋卓也先生は、尿中食塩排泄量で調査されていました。メタボほど減塩効果があるそうです。インダパミドなど利尿剤は尿酸を増加させますが、losartanは下げるらしい。

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