第52回日本核医学会学術総会 2日目
日本核医学会2日目は、朝からアミロイドイメージング。この学会も撮影禁止、スライドを残せないので正確なリポートはできません。以下は私の私見ですので、演者の先生方のお考えとは異なることがあることをご了承ください。
東京都健康長寿医療センター研究所の坂田宗之先生は、関心領域(ROI)を自動で設置する手法について。[11C]PiB PETは白質に非特異的結合がある一方、大脳皮質に萎縮がくる老年者や認知症が対象になるので、大脳皮質の定量的評価は簡単ではありません。そこで、位置合わせをしたMRIを利用し、segmentationにより皮質を検出、標準脳上に設置した独自の円形ROIを、標準化前の画像に適用するという手法を使いました。ADNIのように、大量の画像処理が必要な場合は自動化が必須です。
埼玉医科大学国際医療センターの今林悦子先生は、[11C]PiB PET SUVR画像の部分容積効果の補正について。萎縮については同上。過去の私の論文では萎縮も病気のうち、と部分容積効果は補正していませんでしたが、最近はreviewerに必ずコメントされます。PET/CTのCT画像をsegmentationする方法は位置合わせしたMRIを用いた場合と著変なしと。部分容積効果の補正をすると、様々な画像処理を経過するので誤差は増えるそうです。
大阪市立大学の安宅鈴香先生は、前頭側頭葉変性症の[11C]PiB PET。前頭側頭葉変性症の多くはtauopathyであり、アミロイドイメージングはnegativeなはずですが、健常老年者でも20〜60%で陽性だったり、アルツハイマー病の混合病理があったりするわけで、positiveもありえます。先行論文はこちら。
タウイメージングも3演題ありました。東北大学の岡村信行先生は、[18F]THK-523 PETのヒトの画像が提示されました。健常者とsemantic dementiaではnegative、アルツハイマー病ではpositiveでした。semantic dementiaは前頭側頭葉変性症の臨床症状による分類で出てきますが、ほとんどがFTLD-U、すなわちtauではなくユビキチン封入体ですから、reasonableな結果のように思いましたが... かつてPick病と呼ばれていた行動型前頭側頭葉認知症や進行性核上性麻痺ならタウ陽性になったかもしれません。でも行動型前頭側頭葉認知症は非協力的な場合が多いですから、PET検査は難しいですが...
この後東京で医局主催の研究会があるので、お昼で退散させていただきました...
コメント