千駄木Next Lecture Meeting
日本医科大学橘桜会館で千駄木Next Lecture Meetingが開催されました。消化器内科と神経内科とのジョイントと毛色の変わった研究会でした。
東京女子医科大学長尾毅彦先生からは、脳卒中医の立場から抗血栓療法と消化器疾患のお話。ここ数年で、抗凝固薬や抗血小板薬の選択肢が増えました。先日の研究会でもありましたが、ビタミンK拮抗薬のワルファリンが、肝臓で合成される凝固系の合成を阻害するのに対し、新規抗凝固薬は直接凝固系を阻害するところが違います。ダビガトランの消化管出血は、下部が多い。併用療法が出血合併症を増やす。クロピドグレルがCYP2C19の遺伝子多型で効果が異なり、アジア人で機能喪失型対立遺伝子を有する患者が多いことが知られていますが、CYP2C19での代謝が競合するプロポンポンプインヒビターとの併用でクロピドグレルの効果が低下することも知られています。CYP3A4で代謝されるスタチンとの併用でも効果が減弱する。これを否定した論文はこちら。アスピリンで癌が減る。
東京医科大学河合隆先生からは、内視鏡を実施する消化器科医の立場からのご講演でした。NSAIDSとアスピリンの併用で消化管出血が増加。ある調剤薬局での調査でも、2010年46%、2011年56%と併用が増えています。アスピリンによる胃粘膜への障害は必ずしも長期使用が悪い訳ではないと。2時間で点状出血は起こるし、びらんは3日後でピークだが7日目では減っていたと。河合先生の論文はこちら。アスピリンとH.pylori感染についてはこちら。でも欧米人と違い、日本人のH.pylori感染は胃酸分泌を低下させるので、除菌は胃酸分泌増加につながるそうで。
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