全国エパデール講演会

グランドプリンスホテル新高輪で全国エパデール講演会が開催されました。

お茶の水女子大学大学院の近藤和雄先生からは、栄養学の立場から脂肪酸の機能について講演がありました。イコサペント酸(eicosapentaenoic acid, EPA)の代謝についてはこちら。ドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid, DHA)が細胞膜の構造的な役割を担っているのに対し、EPAは抗炎症など機械的な役割も担っていると。CirculationのAHA Scientific Statementはこちら

岡山大学の伊藤浩先生からは、EPAの心血管イベント抑制について。日本人は欧米人に比べ魚食が多く、冠動脈疾患が少ないことが知られていますが、最近アラキドン酸などn-6系の多価不飽和脂肪酸(PUFA)の摂取が増えてきて、相対的にEPAなどn-3系PUFAの比率が減少、それに伴い冠動脈疾患が増えてきました。

不安定プラークについてはこちら。n-3系PUFAと心血管イベントの関係についてはこちら。突然死との関連はこちらこちら。不整脈も予防。心室細動の予防効果はこちら。食事指導で冠動脈疾患予防についてはこちら。健診データの解析では35歳以下のEPA/AAの低下を指摘したのはこちら

パネルディスカッションではまず九州大学大学院の清原裕先生から、久山町研究のデータ。EPA/AAの減少で、心疾患の死亡・総死亡が増加。高感度CRPについてはこちら。日本人では欧米人よりCRPは低いとか。

順天堂大学大学院の綿田裕孝先生からは動脈硬化とEPAについて。EPAで頚動脈ECHOのIMTが減少したという論文はこちら。ORIGIN Clinical Trialsはこちら。プラーク中のEPAはこちら

富山大学の田中耕太郎先生からはJELIS研究。田中先生の脳卒中二次予防に関する論文はこちら。これが出るまでは、私もEPAの効果は懐疑的でした... 抗血小板作用もありますが、出血は増加せず。EPA/AAは1以上が目標、でもHigher the betterと。

小倉記念病院の横井宏佳先生からは冠動脈インターベンション医の立場から。横井先生方の論文はこちら。EPA/AA 0.4未満はリスクだが、DHA/AAは無関係だったと。

福山市民病院の渡邊敦之先生からは、EPAと不整脈。EPA/AA低値で心室細動が増加。リスクがないとされる特発性心室細動も、実は低EPAがリスクなのかも。


過去のEPAの研究会はこちらこちらこちら

私のEPAの論文は、まだEarly Viewですね。

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