第6回文京脳卒中マネジメントフォーラム

ホテルメトロポリタンエドモントにおいて、第6回文京脳卒中マネジメントフォーラムを開催しました。画像がメインテーマでした。演者お二人の共通点は鍵盤。
新潟大学五十嵐博中先生は脳梗塞急性期のMRIについてご講演いただきました。diffusion weighted image(DWI)の登場は、急性期の脳梗塞診断を大きくかえました。しかし、DWI negativeの脳梗塞もある。前方循環では超早期。後方循環では遅くてもnegativeなことが多い。DWIの制度に関する論文はこちら。救急でのTIA診断についてはこちら。TIAの画像についての総説はこちら。the Diffusion and Perfusion Imaging Evaluation for Understanding Stroke Evolution(DEFUSE)studyの中大脳動脈領域の脳梗塞のサイズと予後予測の論文はこちら。Perfusion Mismatchのソフトはこちらから。下図はこの論文から引用しました。理論上のTmaxはAです。Y軸がCBF、カーブ内の面積がCBV、MMT = CBV/CBF。
五十嵐先生のデータでは、rtPAによる再開通例・非再開通例でADCやCBFの閾値が提示されました。DEFUSE 2はこちらこちら。target mismatchがあると予後良好。rtPAによる血行再建で重要なのは出血性変化(hemorrhagic transformation、HT)の回避です。ischemic coreのCBVの対側比が低いとHTになりやすいと。T2*やSWIが注目されていますが、HTとの関連は十分なevidenceがないと。secondary deteriorationはMRSのNAAの低下で。

DWI negativeの脳梗塞は時々遭遇します。メーカーによってDWI画像は違うそうです。その標準化が試みられているとか。やはり病歴聴取と神経学的所見が大事なのです。


亀田総合病院の田中美千裕先生は、血管内治療でご高名です。以前ご一緒した研究会では、テクニカルなお話と脳血管の解剖の知識で圧倒されました。今回はご造詣が深い機能解剖学の側面からのアテローム血栓症のご講演でした。内頸動脈のアテロームはかつてはhemodynamicな機序で脳梗塞になることが多いと思われていましたが1〜2%、血栓閉塞で脳梗塞になるのも2〜3%で、血栓が遊離し塞栓源になるタイプが95〜98%と最も多い。アテローム血栓は全身に、と思っておりましたが、粥腫を形成するアテロームを形成するのは内頸動脈・冠動脈・大動脈弓部に限られ、他の動脈はfibrousな血栓と。この3カ所は迷走神経がシナプスを形成する場所。Helicobacter pyloriやChlamydia pneumoniae、歯周病が動脈硬化と関連がありと言われていますが、アテロームは血管内膜と中膜のギャップから始まる炎症で、将来はワクチン療法も試みられると。the REduction of Atherotherombosis for Continued Health(REACH)Registryはこちら。モノクローナル抗体によるLDL低下はこちら。遺伝子解析でリスクの早期介入も間もなく。

「人は動脈とともに老いる(A man is as old as his arteries.)」はWilliam Oslerの言葉と言われていますが、実はThomas Sydenhamがお先と。

コレステロール結晶塞栓症は、カテーテル操作、頸動脈に挿入したカテーテルを撮影後ガイドワイヤー使用せず引っ張ると、大動脈弓部で跳ねて傷を付けてしまい、それを契機に生じたりするそうです。しかも、直後にできるのではなく、数日経ってから腎不全など重症化すると。足趾先端のlivedoが特徴、抗凝固療法は即時中止で。ステロイドが効果ありと。

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