あきらめない力:kobo版


世田谷記念病院副院長の酒向正春先生の著書です。


他院で見放された高齢者、重症例や高次機能障害例など、具体的にリハビリテーション病院医とってやっかいな症例を提示されています。私も、脳卒中地域連携パスを作るにあたり、リハビリテーション病院にご理解いただいた部分が重症例のリハビリテーション。私が講演で頻用しているDuncan先生の論文が参考に。軽症例は1ヶ月程度でプラトー。重症例が社会復帰することは奇跡だが、ゆっくりゆっくり回復していく。しかし、リハビリテーション病院の入院期間は制限があるし、東日本はリハビリテーションの資源にも限りがある。重症例が直接療養型施設に入所という話は日常茶飯事。でも、医療連携のリーダーである熊本市民病院の橋本洋一郎先生もおっしゃっています。「重症例でもリハビリテーションの機会を奪ってはならない。」

とは言っても、ホントの重症例は回復は厳しい。酒向先生の示した、画像診断による「トリアージ」は支持しますし、もっと研究を進めるべき分野です。この本を読んだ患者家族が世田谷記念病院に押し寄せてくるのではないかと思いますが、酒向先生はお引き受けすべき患者を見逃さないことでしょう。できれば私たち一般医でも可能な術をご指導・開発いただきたいです。私たちアカデミアの義務? これこそが、日本の脳卒中の診療レベルをあげることになる。

問題は財政です。現行の医療保険や介護保険の制度ではリハビリテーションに制限があります。本の最後に記載された、健康医療福祉都市構想は、この問題を解決できるでしょうか、期待したいです。資金を集めるのか、効率化により支出を減らすのか...

酒向先生のご自身のことも詳細に記載されています。一度お食事をご一緒させていただいたときに、デンマークでのご研究のことはお聞きしていましたが、幼少時のことは...

さて、私はこの本を、koboで購入しました。koboは楽天市場の電子図書。普通に購入すると1,365円ですが、koboでは1,000円。koboの500円のクーポンを持っていたし、楽天市場のポイントもたまっていたので、現金使用せずに即日get。電子図書の欠点は、パラパラめくって内容を確認してから購入することはできないこと、それから酒向先生にお会いしたとき背表紙にサインをいただけないこと。koboの端末もありますが、Arnordのスマホでも、iPhoneやiPad、MacなどPCでも見ることができます。それぞれがnet経由で同期しますから、電車の中はスマホ、家や職場の空き時間はPCの大画面と、シーンに合わせた読書が可能です。

雑誌の電子図書もあります。A4サイズの雑誌そのままのレイアウトで紙媒体で買うのと同じ値段だったりします。その場合、スマホで見るのは至難の業です。マイナーな雑誌を本屋に行かずに購入できるのはメリットですが、紙媒体でパラパラ見る方が絶対楽。ゴミは減りますが。雑誌によっては、電子媒体用にインターフェースを工夫しているものも増えてきました。紙媒体と電子媒体の表示法の違い、これも勉強したいです。動画が付いた電子教科書を作成できれば...

あきらめない力

あきらめない力
著者:酒向正春
価格:1,000円(税5%込、送料込)
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