第5回Western Chiba Neurological Seminer 1
浦安ブライトンホテルで開催された、第5回Western Chiba Neurological Seminerに参加しました。
順天堂大学の志村秀樹先生からは、ubiquitin-proteasome systemを中心に、タンパク質分解機構とパーキンソン病など変性疾患についてのご講演がありました。志村先生はすでにNature GeneticsやScienceの論文がありますが、以前書いたように、順天堂大学の底力には恐れ入ります。
神経変性疾患が、異常タンパクの増加による神経細胞の変化が原因ですが、病理で見られる各種封入体が「異常なタンパク質」の蓄積あるいは異常な「タンパク質の蓄積」であります。その病態として、異常タンパクの産生増加の場合と、異常タンパクの分解機構の障害の場合があります。ポリグルタミン酸病は前者がメイン、パーキンソン病やアルツハイマー病は後者がメインと考えられます(もちろん双方が関与しています)。
ubiquitinがtagのようになって標識された異常タンパクは、proteasomeという巨大分解酵素複合体による分解されます。また、内部に分解酵素を持つlysosomeも、ユビキチン化されたタンパクの分解に関与しているらしい。p62がタンパクの凝集を促進し、lysosomeのautophagyを調節している。タンパク異常の防御機構は二重三重になっています。
パーキンソン病におけるubiquitin-proteasome systemについてはこちら。ユビキチン化が機能しなかったり、プロテアソームの分解機構の破綻がおこってしまう。プロテアソーム阻害剤によるパーキンソン病モデルの研究がいくつかある。しかし志村先生はプロテアソームそのものの活性低下がメインではないと推察されているそうです。Parkin=ubiquitin ligase。Parkin deficit modelでは無動・振戦・固縮などなく、黒質ドパミンニューロンの変性はない。
最後に、O-結合型糖鎖αシヌクレインの研究と、タウはCHIPというユビキチンで標識されプロテアソームで分解されるとお話がありました。
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