ミコンビ配合錠新発売記念講演会

 京成ホテルミラマーレで開催された、ミコンビ配合錠新発売記念講演会に参加しました。
 いつもお世話になっている新松戸中央総合病院の中村司先生からは、腎臓内科の立場から降圧剤に関する講演がありました。アンジテンシンII受容体が生命予後に関連があることを示唆する論文が、イタリアのグループからでたそうです。telmisartanとolmesartanを比較した論文、あるいは中村先生ご自身の研究で、telmisartanの降圧効果以外の優位性(尿アルブミンや尿細管間質マーカーのL-FABPの減少など)が提示されました。これらはPPAR-γの作用と思われます。そして、Crea 0.5mg/dlと軽症と思われる糖尿病性腎症でも、腎生検標本では糸球体硬化が認められるそうで、軽症のうちから介入すべしとのことでした。アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)で降圧が不十分の場合は、benidipineやazelnidipineをお勧めでした。カルシウム拮抗薬の多くは輸入細動脈を拡張するのですが、この2者は輸入細動脈も拡張するからだそうです。また、スタチンも積極的に使用するそうです。ただし、この積極的な治療はあくまで軽症例のお話です。LDLアフェエーシスもタンパク尿を減少させるそうです(Moorhead JF et al., Lancet 320 1309-1311)。中村先生ご自身の論文はこちら。また、赤ワイン(ポリフェノール?)もタンパク尿を減らすそうです。血中のAGE/RAGE/HMGB1/ADMAといった炎症マーカーがCKDでも上昇し、telmisartanで減少するそうです。これは脳卒中の研究でも使えそうなマーカーです。アルドステロンブロッカーやレニンブロッカーもそのうち出てくるそうです。
 佐賀大学の野出孝一先生からは、高血圧診療のことと、体内時計遺伝子についてのご講演がありました。ARBとスタチンの併用でCKDの予後が改善する、ということです。腎保護的なARBを中止する基準は、血清Creaが前値の30%以上増加、血清Creaが前値の1mg/dl以上増加、Kが5.5mEq/l以上と提示されました。telmisartanは100%肝代謝、肝臓が悪い人では要注意です。それからCrea 2.0以上の場合の利尿薬は、まずルプラック・ダイアートから、最後にラシックスということ、IMT・PWV・BNP・hsCRPで心血管不全を評価すべし、とのことでした。体内時計については、例えば、t-PA活性も日内変動があるそうです。Mullerらの論文はこちら。体内時計遺伝子のknockout mouseでメタボになるという論文はこちら

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