脳卒中フォーラム

 ホテルニューオータニ幕張で開催された、脳卒中フォーラムに参加しました。昨年は、医療連携を推進する会で、この懇親会で回復期リハビリテーション病院の院長先生方が回復期が作る共通の脳卒中地域連携パスの必要性を話し合い、千葉県共用パスにつながったのです。
 本日の会では、白石脳神経外科病院の高橋明先生から、砂川市立病院にいらっしゃったころの中空知地区の医療連携のお話がありました。北海道は札幌市以外は大変な状況とお聞きしていましたが、高橋先生は市民・救急隊・内科の病院・回復期リハビリテーション病院などと積極的に講演や連携をはかり、大規模な連携システムを構築されていました。しかも脳外科医が2〜3人という状況で、血栓溶解療法も日本医科大学千葉北総病院脳神経センターより多数例、しかも好成績で実施されていらっしゃいました。tPA後に脳血管撮影を実施して、再開通があれば血圧は正常レベルまで下げ、再開通がなければ血圧を高めにするそうです。そして、軽症例を4〜5日で内科の病院に転院する、軽症例脳卒中地域連携パスは画期的ですが、これを2004年に実現されています。非専門病院の経営側のご理解が必要です。これには、収益が上がること、悪化時は専門病院がバックアップする約束、急性期をすぎて急変が少ないことをご説明する必要があります。市民公開講座には、通常の講演の他、劇を取り入れていらっしゃいました。救急隊の病院前脳卒中救護(PSLS)では、シンシナティ・ストローク・スケールを使用されていました。倉敷のKPSSもいいのですが、受け入れる病院側が把握していない、そこでKPSSは使用せず、シンプルなシンシナティ・ストローク・スケールを取り入れたそうです。これを、救急隊だけでなく、市民にも啓発、血栓溶解療法で成績がいいのは、軽症例でも早期に来院されるからだそうです。逆に重症例はどうされているか、地域の脳卒中診療のスキルがアップすると、慢性期の病院に空きが出て、受け入れてもらえるようになったそうです。インターネットとVPN、ファイルメーカーを利用した、DASCHシステムを稼働していて、効率がよろしいようです。思ったほど経費もかかっていない模様...
 東京歯科大学市川総合病院の野川茂先生からは、慢性期脳卒中のリスクファクターの管理と、医療連携の話がありました。急性期で処方したものが療養期で変更されてしまうこと、スタチンでLDLを下げすぎると出血が多くなるが、血圧管理もしっかりやるようにすべきことなどが解説されました。それから、さすが東京歯科大学、口腔ケアが充実していて、誤嚥性肺炎が少ないそうです。ガンの医療連携は、緩和ケアでかかりつけ医の腕の見せ所があるのですが、脳卒中の医療連携ではそれがない、脳卒中地域連携パスの診療報酬もない、など、かかりつけ医にとっての魅力が乏しい点が指摘されました。

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