Stroke Prevention Therapy Now!! その1
ホテルメトロポリタンエドモントで開催された、「Stroke Prevention Therapy Now!!」に出席しました。
熊本大学平野照之先生からは、脳梗塞の二次予防、特に、抗血栓療法について講演がありました。最近の研究では、cilostazolやclopidogrelの方がaspirinより出血合併症が少なかったり予防効果が強いとされていますが、現場では薬価の違いからaspirinが使用されることが多い。そのため、平野先生の師匠である熊本市民病院橋本先生のところでは、基準をもうけて使い分けをしていたそうです(BRAIN NURSING 2006 vol.22 no.7(765)109)。ネットで調べると、獨協医大もEssen Stroke Risk Scoreを使ってaspirinとclopidrelを使い分けているようです。
アスピリン抵抗性についてもお話しされました。aspirinは血小板のCOX-1を阻害し、強力な血小板凝集作用をもつトロンボキサンA2の産生を抑制する。しかし、トロンボキサンA2にはaspirinの作用が及ばない合成経路もある。例えば、単球、マクロファージ、血管内皮細胞ではCOX-2の働きによりトロンボキサンA2がつくられる。また、血小板活性を亢進させる多様な因子のなかには、aspirinの影響を受けないものある。TXA2代謝物の尿中排泄量(尿中11-CHTXb2/cre)を測定すると、aspirin無効例で高値になっているそうです。こういった検査で、aspirinと他剤の使い分けをしてもいいかもしれませんが、まだ検査そのものが高価。
抗血小板剤の併用の研究もいくつかありますが(MATCH・PRoFESSなど)、多く出血合併症の増加が確認されています。期間を限定するといいのではないかとおっしゃっていました。
心原性脳塞栓でも、以前はaspirinが使用されることがありましたが、これは無効であることが証明されましたので、warfarinが推奨されています。NVAf患者の脳梗塞発症リスク評価にCHADS2スコアを使うこともありますが、心房細動治療ガイドラインでも以前よりwarfarinが重要視されています。warfarinの出血合併症もありますから、血圧管理も大事です。アレルギーなどでwarfarinが使用できない場合は、clopidrel+aspirinを用いるという報告が最近ありましたが、出血合併症には要注意です。
ただ、warfarinはPT-INRを用いたコントロールが必要です。dabigatranなどの新薬も期待されます。
ちなみに、日本医科大学千葉北総病院脳神経センターでは、原則clopidogrel、狭窄があるような例でcilostazolを使用し、初回脳梗塞でaspirinを使用することは最近は少なくなりました。再発したらもっと強い薬へ、という考え方もあると思いますが、次の再発が、また社会復帰可能な軽症脳梗塞とは限りませんから。そしてaspirinは胃潰瘍の原因になります。高齢者では大きな胃潰瘍でも胃痛などの症状がないことがあり、進行する貧血で見つかることもあります。見つかれば、当然抗血小板剤は中止、そうすると、再発のリスクが...
しかし、この考え方で問題なのは、療養型施設に移った場合にaspirinに変更されることがあることです。なぜなら、包括医療であり、clopidogrelを使うと赤字になってしまう。抗血小板剤は飲み続ける薬剤です。印旛脳卒中地域連携パス(InCliPS)や県共用パスの会議でも問題になりますが、抗血小板剤で施設が倒産してしまっては元も子もありません。やはり医療制度を考えていただかないと...
心原性脳塞栓例はもちろんwarfarinが原則です。
熊本大学平野照之先生からは、脳梗塞の二次予防、特に、抗血栓療法について講演がありました。最近の研究では、cilostazolやclopidogrelの方がaspirinより出血合併症が少なかったり予防効果が強いとされていますが、現場では薬価の違いからaspirinが使用されることが多い。そのため、平野先生の師匠である熊本市民病院橋本先生のところでは、基準をもうけて使い分けをしていたそうです(BRAIN NURSING 2006 vol.22 no.7(765)109)。ネットで調べると、獨協医大もEssen Stroke Risk Scoreを使ってaspirinとclopidrelを使い分けているようです。
アスピリン抵抗性についてもお話しされました。aspirinは血小板のCOX-1を阻害し、強力な血小板凝集作用をもつトロンボキサンA2の産生を抑制する。しかし、トロンボキサンA2にはaspirinの作用が及ばない合成経路もある。例えば、単球、マクロファージ、血管内皮細胞ではCOX-2の働きによりトロンボキサンA2がつくられる。また、血小板活性を亢進させる多様な因子のなかには、aspirinの影響を受けないものある。TXA2代謝物の尿中排泄量(尿中11-CHTXb2/cre)を測定すると、aspirin無効例で高値になっているそうです。こういった検査で、aspirinと他剤の使い分けをしてもいいかもしれませんが、まだ検査そのものが高価。
抗血小板剤の併用の研究もいくつかありますが(MATCH・PRoFESSなど)、多く出血合併症の増加が確認されています。期間を限定するといいのではないかとおっしゃっていました。
心原性脳塞栓でも、以前はaspirinが使用されることがありましたが、これは無効であることが証明されましたので、warfarinが推奨されています。NVAf患者の脳梗塞発症リスク評価にCHADS2スコアを使うこともありますが、心房細動治療ガイドラインでも以前よりwarfarinが重要視されています。warfarinの出血合併症もありますから、血圧管理も大事です。アレルギーなどでwarfarinが使用できない場合は、clopidrel+aspirinを用いるという報告が最近ありましたが、出血合併症には要注意です。
ただ、warfarinはPT-INRを用いたコントロールが必要です。dabigatranなどの新薬も期待されます。
ちなみに、日本医科大学千葉北総病院脳神経センターでは、原則clopidogrel、狭窄があるような例でcilostazolを使用し、初回脳梗塞でaspirinを使用することは最近は少なくなりました。再発したらもっと強い薬へ、という考え方もあると思いますが、次の再発が、また社会復帰可能な軽症脳梗塞とは限りませんから。そしてaspirinは胃潰瘍の原因になります。高齢者では大きな胃潰瘍でも胃痛などの症状がないことがあり、進行する貧血で見つかることもあります。見つかれば、当然抗血小板剤は中止、そうすると、再発のリスクが...
しかし、この考え方で問題なのは、療養型施設に移った場合にaspirinに変更されることがあることです。なぜなら、包括医療であり、clopidogrelを使うと赤字になってしまう。抗血小板剤は飲み続ける薬剤です。印旛脳卒中地域連携パス(InCliPS)や県共用パスの会議でも問題になりますが、抗血小板剤で施設が倒産してしまっては元も子もありません。やはり医療制度を考えていただかないと...
心原性脳塞栓例はもちろんwarfarinが原則です。
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