第4回文京脳卒中マネージメントフォーラム

ホテルメトロポリタンエドモントで開催された、第4回文京脳卒中マネージメントフォーラムに出席しました。
九州医療センターの矢坂正弘先生からは、脳梗塞のリスク管理についての講演がありました。脳梗塞は10年で2人に1人が再発、心原性脳塞栓に至っては4人に3人。しかし、昨今の薬物療法の発展で、無症候性脳血管障害は、外科治療よりbest medical treatmentが上回るという論文があるほど。血圧と出血の関係はBAT study。心筋梗塞と違い、脳梗塞は出血につながることが多い。喫煙などリスクファクターと脳卒中・心血管イベントの関連はこちら。弁膜症性心房細動とというとき、リウマチ性僧帽弁膜症・人工弁・僧帽弁置換術後を指し、これ以外の弁膜症を合併していても、非弁膜症性心房細動。moya ECHOは血流の欝滞。CHADS2とCHA2DS2-VAScの比較はこちら。RE-LYの出血の検討はこちら。脳は組織因子(tissue factor; TF)が多くあり、VIIaと複合体が良くできる。これがII・VII・IX・Xを阻害するワルファリンでは減少。Jellyfish signはこちら。mobile plaqueはこちら。B-Flow-winkerで、B-modeではわかりにくmobile plaqueを描出できるとか。
新潟大学小野寺理先生からは、CARASILなど脳小血管病に関する講演がありました。このまれな疾患がN Engl J Medに掲載されるには、遺伝子の同定を始めとする病態の解明があったようで。白質病変についてはこちら95%の方が何らかの白質病変が見つかるらしいです。大血管は言うなれば土管。小血管は弾性板がなく、Brain Blood Barrier(BBB)という機能を持つ。内弾性板がないから、物質の輸送が可能に。Nature Medicineの論文はこちら。アルツハイマー病のneurovascular regulationについてはこちら。ラクナ梗塞がBBBの破綻であると主張する論文はこちらこちら(ただしこのグループしか言っていない...)。ラクナ梗塞の患者はラクナ梗塞を再発しやすいという論文はこちら。ラクナ梗塞患者の網膜所見についてはこちら。したがって、小血管病と大血管病は違うもののようです。さて、遺伝性小血管病です。Hereditary endotheliopathy with retinopathy, nephropathy, and stroke(HERNS)、Fabry病、CARASIL、CADASILなどがあります。CARASILの臨床診断は、亀田メディカルセンターの福武敏夫先生詳細な観察があればこそ。禿頭 alopecia が有名ですが、ない例もあるそうです。髪1本1本が細くなるそうで。常染色体劣性遺伝のCARASILはHTRA1遺伝子のナンセンスとミスセンスが原因。TGF-βファミリーの信号が亢進します。Osler病もTGF-β受容体が関与しているそうで。TGFβは血中に出てしまうと半減期2分。ラップにくるんで作ってあって、何かのときにすぐ出せるようにしてあるようです(こちらの論文の図をご参照)。Marfan症候群もTGF-βがらみ。TGF-βの活性化で、elastinが増殖。で、losartanでMarfanの動脈瘤の治療の可能性もこちらもご参照。HTRA1についてはこちらCARASILでは平滑筋細胞層が欠落していて、小血管が閉塞しているのではなく、拡張しているとのこと
最後にclosingのご挨拶をさせていただきました。東京都の救急搬送システムをご紹介させていただき、今後血管内治療の体制作りも必要だし、慢性期は特に血圧管理が重要ですが、救急病院とクリニックの連携の重要性をプレゼンしました。

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