Jonan Stroke Forum 2013

目黒雅叙園で開催された、Jonan Stroke Forum 2013で、講演させていただく機会をいただきました。
 日本医科大学千葉北総病院は印旛脳卒中地域連携パスを2008年より運用開始し、年間約200例に適用されています。一方、日本医科大学付属病院は東京東部脳卒中連携協議会のパスを使用していますが、実際に脳卒中地域連携パスを用いた転院は7例しかありませんでした。そこで、パス以外の連携を始めました。リハビリテーション病院のMSWに、日本医科大学付属病院のstroke care unitのカンファレンスにご参加いただく、ということを始めました。それにより、お互いの状況がわかるようになり、連携が進み、連携パス発行も増えました。「パスシート」の次は、「ヒト」です。
また、脳卒中医療連携における、薬物療法の継続の問題を提示しました。米国のデータはこちら。脳卒中を起こしてから3カ月以内に1種類以上の予防的薬剤の服用を、脳卒中患者の25%が服薬を途中で中止。患者さんがやめちゃう場合もありますし、医療者側の事情が多いようです。米国だと医療保険で変えざるもありますが、服用理由の不理解などもあげられています。抗血小板剤の時もコストが問題になっていましたが、新規抗凝固薬(New Oral Anticoagulants:NOAC)も療養型病院など包括医療の環境では大問題です。

日本の薬価は、

  • ワルファリン 0.5mg 9.6 円
  • ワルファリン 1mg 9.6 円
  • ワルファリン 5mg 10.1 円


  • ダビガトラン 75mg × 4 T 530.4 円
  • リバーロキサバン 15mg ×1T 530.4 円
  • アピキサバン 5mg × 2T 530.4 円
ワルファリンが2mgとか3mgとかですから、20〜30円/日。でも脳卒中再発(つまり心原性脳塞栓症の再発や脳出血)は、もっと医療費かかりますから。


東京都済生会中央病院の星野晴彦先生からは、心原性脳塞栓に対する高凝固療法についてレクチャーがありました。ワルファリンは肉納豆(凝固系のVII、IX、X、II 因子)を阻害。ARISTOTLE studyはこちら。Apixabanは安全性が特徴。

次に、心原性脳塞栓症と抗凝固療法についてのパネルディスカッション。まず日本赤十字社医療センターの佐口隆之先生からは、tPA症例の提示がありました。tPAでよくなったからよかったですが、ワルファリン2mg内服中にも関わらず、搬送時のPT-INR 1.09。ワルファリンは、安定している患者さんはずっと安定していますが、そうじゃない患者さんの場合が困ります。逆に効きすぎてしまうこともあるし。玉川病院の和田義明先生からは、回復期リハビリテーション病院での抗凝固療法の実態が提示されました。転院時のPT-INRのデータは驚きでした。治療域に達していなかったり、5くらいだったり。急性期病院が在院日数を減らし早期にリハビリテーション病院に転院するようになったからです。脳卒中地域連携パスの「罪」でしょうか... でも昔と違って、リハビリテーション病院の先生にワルファリンコントロールを安心してお任せできる時代になりました。富田医院の富田喜文先生からは、循環器医のクリニックの立場から、一次予防や荏原病院に搬送した症例提示、患者さんへの脳卒中症状の説明(ACT-FAST)のお話がありました。

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