第51回日本神経学会総会 1
5月20日から第51回日本神経学会総会開催です。会場が広いので移動が大変です。
国立循環器病センターの前田先生の演題は、SAMURAI研究の解析で、心房細動に対するワーファリン内服中に脳出血になった場合に、ワーファリン再開をどうしているかのアンケート調査が報告されました。期間もCT所見からの判断も結局はケースバイケース、今後の前向き研究が必要だということでした。
熊本赤十字病院奥村先生は、80歳以上のt-PA療法についての演題でした。過去の報告では高齢者での血栓溶解療法が予後不良とされていましたが、そうでもないようです。フロアーからのコメントも、高齢者の血栓溶解療法に肯定的でした。
静岡済生会総合病院の吉井先生は、軽症から中等度の心原性脳塞栓がt-PA療法効果あり、という演題でした。これは現場で実感できます。驚くべきは、脳梗塞の19%でt-PAを使ったとのこと、発症早期に搬送される症例が多いようです。啓発活動の成果なのか、救急搬送体制なのか...
ランチョンセミナーは神戸大学戸田達史先生のパーキンソン病の遺伝子のお話でした。孤発性のパーキンソン病も、アルツハイマー病同様、多因子遺伝性の変性疾患と考えられています。メンデル遺伝性のパーキンソン病はここ数年で多くの研究成果があります。PARK1はαシヌクレインの易凝集化、PARK4はαシヌクレインの遺伝子重複による発現量増化。そしてGaucher病の保因者にパーキンソン病が多いが、パーキンソン病の9.4%にGBA変異が認められた。Gaucher病のメタ解析でGBA変異があると5倍パーキンソン病になりやすい。また、パーキンソン病のゲノムワイド関連解析では、50万個のSNPを判定、高いのはαシヌクレインだったそうです。
国立精神・神経医療研究センターの村田美穂先生は、2009年楢林賞受賞者招待講演でした。抗てんかん薬のゾミサミドがパーキンソン病に有効であることを見いだし、その作用機序を解明していきました。
会長講演の辻省二先生は、まずは本学会のコンセプト、web castなどの新しい点を提示されました。そして、神経内科のトレーニングプログラムの重要性を強調されました。辻先生は遺伝子研究では数多くの業績があります。ゲノムワイド関連解析はeffect sizeが小さいなどの限界がある。次世代シークエンスにより大規模なゲノム配列解析、パーソナルゲノム解析は将来のオーダーメイド医療の応用が期待されます。
ポスターでは、順天堂大学の石川先生が、パーキンソン病の尿酸値の検討を報告されました。尿酸値低値がパーキンソン病発症リスクであることは、過去の報告でもありましたが、さらにジスキネジアとの関連も調査されている所が興味もたれました。
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